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【2001年8月 渡良瀬有情】

松木沢の夏

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬川を旅する私にとって、源流の足尾町・松木沢は、標高千メートル前後で夏の避暑によく訪れる。日中の日差しは強いが、汗ばむ程でない。澄み切った青空と荒涼とした岩山から流れ落ちる幾筋もの滝が涼感を与えてくれる。朝夕の涼しさもいい。満天の星空を仰ぐ時間も最高だ。美しい天の川が、くっきりと望める。下流に行くのを忘れてしまう程だ。

 また、アマツバメの群れに出合うことも楽しい。山の谷間を数百羽が「チィ−チィ−」と鳴いて終日飛び交っている情景は壮観。アマツバメは夏鳥として東南アジアから渡来し、松木沢の岩壁で繁殖する。長い翼で、生活の大半を空中で過ごすという。飛ぶ姿はツバメに似ているが、ツバメの仲間ではなく、アマツバメ類のグル−プだ。ヨタカに近い鳥という。

 今年の夏は、煙害で立ち枯れた木の枝にタカが止まるという念願の光景に遭遇した。距離は約150メートルと遠かったが、多分ノスリかオオタカかハヤブサであろう。食物連鎖の頂点に立つ猛きん類がいるのは自然が蘇った証しでもある。飛び立つまでの約1時間が短く感じられた。

 今月19日、午後1時から足尾町松木地区の銅(あかがね)親水公園で、第2回「足尾グリ−ンフォ−ラム」(足尾に緑を育てる会主催)が行われる。記念講演は宇都宮大学農学部教授の小金澤正昭さんの「松木の山と野生動物」。小金澤さんは「足尾は日本を代表する野生動物の宝庫である」という。作家の立松和平さんもパネラ−で参加する。夏の一日、避暑を兼ねて足尾を訪れてはどうだろうか。いい出合いがきっと待っていると思う。

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