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【2001年9月 渡良瀬有情】

秋の夕暮

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地のアシ原に、淡い紫色のヨシと白いススキの穂が輝き出した。朝夕は肌に冷気を覚える。一日一日と秋が深まって行くのだろう。

 今月始め、遊水地で素晴らしい夕焼けに出合った。厚い雲のすき間から落日が顔を出し、朱色の光線が湿地を走った。日没後も、雲は益々色を染めて、荘厳な雲の帯が地平線で色を変幻していった。秋の夕焼けは、季節の中で一番美しいと感じる。低気圧や秋雨前線が通り過ぎた後、北から高気圧が南下。冷たく澄んだ大気なので、いい夕焼けになるようだ。

 秋の夕暮は、夕焼けの空に舞う野鳥との出合いも楽しい。遊水地の谷中橋の北側の湿地に、ツバメ、ムクドリ、シラサギ類が日没前にねぐら入りで集合。ツバメの大群は色付いた水辺を飛び回る。ムクドリは、数百羽が塊になり夕焼けの空に乱舞する。塊は数個になり、壮観だ。シラサギは、約200羽ほどが湿地の中の枯れ木に集まる。まるで大きな白い花が咲いたようだ。

 ところで、今月15日の午後3時、足尾町通洞の銅山観光の「銅ふれあい館」前で、大道芸人の第一人者であるギリヤ−ク尼ケ崎氏が「青空舞踊公演」を披露する。同1時30分から同館で同氏主演映画「祈りの踊り」も上映。

 企画したのは同町の川本順子さん(53)。戦争中、中国人捕虜が足尾銅山に強制連行され、109人が他界した。町議を38年間勤めた父親が2年前に亡くなり、父親らが建立に関わった同町銀山平の中国人の慰霊塔に栄枯盛衰を思ったという。鎮魂の思いを出せないかと考えていた時、ギリヤ−クさんを知り、公演を依頼する。「多くの人に、特にお年寄りに見てもらいたい」と話す。敬老の日、有名な情念の舞踏家を見に、足尾を訪れてはどうだろうか。共に入場無料。

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