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【2001年11月 渡良瀬有情】

足尾吟行

撮影・文 堀内洋助


 紅葉の最盛期を迎えた足尾町に先月21日、インタ−ネット句会を催す「于論茶」の仲間と共に、秋深き足尾銅山跡周辺を歩いた。参加者は、学生、会社員、主婦、教師など10名。私の同僚である田島力・元宇都宮支局長が支局時代から作っているホ−ムペ−ジ「于論茶」で連載中の「続・渡良瀬有情」を見て、ぜひ現地の足尾を見ながら吟行をしてみたいという連絡があり、案内する事になった。

 当日の情景は「于論茶」の仲間が詠んだ俳句から引用したい。一人三点の投句で計29点の中から選出され、”最優秀賞”の天は「隼が切り裂く峰の紅葉かな」(于論茶)。地は「廃村の竜胆ほのと咲きにけり」(ぎふう)。人は「雲流る備前楯山冬隣」(しもべ)。次点は「すすき野にざわめき聴きし鉱夫浴場(ふろ)の跡」(義弟)。かっこは、ハンドルネ−ムで俳号。

 この日は珍しくハヤブサが何回も姿を見せてくれた。松木村跡に咲くかれんなリンドウや雲の通り道である松木沢の光景がいい。足尾の秋の哀れや寂しさがしみじみと伝わってくる。ライフワ−クのネイチャ−フォトは俳句のようだといつも思っている。余分なものを捨て、研ぎ澄まされた世界を狙うと、いい写真になるようだ。

 惜しくも選外だったが、私の好きな俳句は多かった。「ジャンダルムイヌワシが舞い天高し」(かんこ)・「禿げ山に鳥影ひとつ秋の雲」(ぎを)・「ふる月日つもる紅葉の廃墟かな」(吉本)・「川流れすすきゆらゆら村のあと」(にしけん)・「切々と足尾を語り秋語る」(徳子)・「圏外にひとつりんどう夢の後」(龍司)。いずれも写真に撮りたい光景だ。

 最後に私も一句。仲間と会う2日前に半月山から見た情景を。「足尾から紅葉に浮かぶ富士の峰」。

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