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【2001年12月 渡良瀬有情】

しし座流星群

撮影・文 堀内洋助


 大出現が期待されていた「しし座流星群が」11月19日未明、ピークを迎え、渡良瀬川上流の松木沢で流れ星が雨のように降る「流星雨」を観測した。私にとって一生に一度の夜空を彩る天文ショーだった。

 3年前は期待はずれに終わった。その時は、渡良瀬川下流の渡良瀬遊水地で観測。今回は著名な英天文学者、デビッド・アッシャー博士が「1時間に最大8000個が出現する」と予想。標高1000メートルの足尾町松木沢で見ることにした。

 夕方、荒涼とした山の谷間に到着。足尾鉱毒事件で煙の通り道になり、いまだに異彩を放つ空間だ。ここから上流には明かりもなく、満天の星が見られる。やみに包まれ出すと、真上に天の川が現れた。ニホンジカの「ヒューン、ヒューン」という甲高い声が谷に響いた。今は求愛の季節なのだ。

 18日午後11時すぎから流れ星が見え始めた。19日午前0時ごろには数が増え、東の夜空に昇ったしし座から流れ星が放射状に散りだした。午前2時から3時台にはピークを迎え、流れ星が降り注ぐ「流星雨」が出現。思わず歓声を上げた。オレンジの火の玉のような「火球」や飛行機雲のように筋が残る「流星痕(こん)」も観測。双眼鏡で見ると、くっきりと望める。

 この壮大で神秘的な光景を見ると、カメラで撮影するという行為が空しく思えた。無の心で被写体(宇宙)を見続けていたいという心境に駆られた。プロのカメラマンになって二十数年、初めての衝撃だった。

 流れ星に思わず願いを祈った。家族や健康や仕事のこと。そして、渡良瀬川の環境を守ることや足尾に緑が蘇ることを。何回となく流れ星に語りかけることができて嬉しかった。

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