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【2002年1月 渡良瀬有情】

白鳥の飛来

撮影・文 堀内洋助


 コハクチョウ18羽が先月12日午後、渡良瀬遊水地に飛来したのを藤岡町の探鳥家・寺内為敏さんが目撃した。場所は第3調節池の江川沿いの池。寺内さんは「新記録ですね。今までは数羽だった」と驚いていた。半数が幼鳥で、翌日にはいなくなったという。「南下したコハクチョウが多々良沼や菅生沼の越冬地に行く途中に立ち寄ったのだろう」と話していた。

 関東地方の主な白鳥飛来地の越冬数は1月6日現在、次の通りになる。群馬県館林市の多々良沼はコハクチョウ94羽、オオハクチョウ11羽。埼玉県川本町の荒川はコハクチョウ116羽。茨城県岩井市の菅生沼はコハクチョウ約300羽。千葉県本埜村の田んぼはコハクチョウ約350羽。関東平野の中央を流れる利根川の東西にこれだけ多くが渡来しているのだ。

 コハクチョウが立ち寄った遊水地の池を訪ねた。約4年前に国土交通省がアシ原を掘削してできた約1ヘクタールの湿地だ。江川とつながり、魚や水草も豊富なように思える。伝統的な漁法の「長袋」が仕掛けられ、その上でダイサギとアオサギが魚を狙っていた。水辺にはコガモとオカヨシガモ約百数十羽、オオバン10羽、そしてカワウ、カイツブリが数羽いた。周辺上空をノスリ、チュウヒが舞う。冬の遊水地では、谷中湖以外で多くの水鳥が見られる場所は珍しい。

 新年の2日間をこの池周辺で過ごした。北風が強く、富士山がくっきりと望めた。富士と白鳥という幻の映像を思い描くと胸が高鳴った。

 近年、遊水地の豊かな自然環境が広く知られてきた。訪れる人も多い。それと同時に、ゴミや産業廃棄物の不法投棄が増加した。人間の愚かな行為が自然を傷つけているのだ。国土交通省は杭を立て、車両規制を随所で始めた。

 この一年も自然と人間の営みを見つめながら渡良瀬川を歩きたいと思う。

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