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【2002年2月 渡良瀬有情】

冬の空

撮影・文 堀内洋助


 冬の渡良瀬遊水地は空の情景が魅力的だ。冬の太陽の光と空気と水蒸気が、空の色と光を美しく演出してくれる。空には四季それぞれの趣がある。同遊水地は冬が一番いいように思う。広大な湿地帯と澄んだ大気と寒さのせいだろうか。

 1月下旬、同遊水地で夜明けを迎えた。日の出は6時48分。その90分前に始まる天文薄明は5時18分。太陽が地平線下18度になる時刻だ。空がかすかに明るくなり始めるとされるが、実際は空に変化はなくまだ暗い。そして60分前から、地平線に赤やだいだい色の光の帯びが現れ始め、しだいに大きく広がっていく。40分前になると赤、黄、青の色彩が豊かになり幻想的で素晴らしい。刻々と空の鮮やかさが移ろい、薄明の色と光のドラマが展開する。

 日の出は、雲の切れ間から朱色の光線が走り感動的だった。いつ見ても荘厳な一瞬だ。

 渡良瀬川の新赤麻橋に移動する。鏡のような水辺に小さい綿のような白雲が多数映っていた。不思議な光景だ。歳時記でいう凍雲(いてぐも)だろう。撮影していると、上空に暗雲が覆い始めた。足尾山地の青空との対比が面白い。暗雲に光芒が走り、時雨(しぐれ)が急に降り始め、短時間でやんだ。そして西の空に虹が現れた。次々に展開する冬の空の動きに、夢中でシャッターを押していた。

 このような壮観な光景に出合うのは珍しい。同遊水地を訪れてもカメラを出さない日もある。しかし、来て良かったといつも思う。心をいやす豊かな自然があるからだろう。

 渡良瀬遊水地の冬の空は、季節風が足尾山地を越した場所に広がる。それゆえ雲の動きも面白く、魅了してやまない。

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