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【2002年3月 渡良瀬有情】

ミサゴ撮影記

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地で先月、猛きん類のミサゴを追った。水中に飛び込んで魚を捕る豪快な狩りを見たいと思った。日本野鳥の会茨城支部の一色安義さんによると「数年前から越冬で飛来し、今年は3羽いる。2羽は谷中湖周辺で、1羽は第三貯水池」という。以前は秋の一時期に滞在するだけだったが、ミサゴは豊かな遊水地の自然環境に適応したのだろうか。

 ミサゴは下面が白っぽく、羽を広げると約170センチもある大きなタカだ。全長は雄54センチ、雌64センチ。全国の海岸や河口で魚を捕って生息し、内陸の湖沼でも見られる。留鳥で、冬は暖地に移動して暮らすという。

 ミサゴが狩りをする池を訪ねた。1日に2回飛来した。上空から水面を見ながら何度も旋回し、魚を発見すると、ホバリングして、一直線に急降下。激しく水しぶきを上げて水中に飛び込む。数秒後にアシで魚を捕まえて現れ、ゆっくりと舞い上がった。

 しかし、その距離は遠かった。近くでダイビングしないかと数日通った。そんなある日、朝から待ち続けて6時間後、突然ミサゴが現れ、近くに飛び込んだ。最高のシーンだが、シャッターが押せない。フィルムが撮り終わっていたのだ。激しい焦燥を感じた。だが、左手は無意識なようにミサゴを追っていた。ゆっくりと舞い上がり、大きなフナを足でつかんだ姿が、私に近づいてくる。ファインダーの中で鮮明に幻の映像が通り過ぎた。わが身の愚かさを悔やんだ。実は近くの木に偶然に止まったノスリを撮り始めたとき、ミサゴが現れたのだ。ミサゴはまだ来ないだろうという心の油断があったのだろう。

 その後、写真部デスクの仕事と所用で休みが取れず、3週間ぶりにこの池へ訪れたが、ミサゴの姿は無かった。写真はいつも一期一会なのだ。遊水地の自然から教えられる日々が続く。

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