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【2002年8月 渡良瀬有情】

夏のアシ原

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地で7月下旬、日本の南海上を西進する台風9号の影響のため、強めの風が吹いて青空に積雲が連なった。緑が一段と濃くなったアシ原にポッカリと浮かぶ雲は、魅力的だった。

 強い日差しだが、風の影響で蒸し暑さは和らいだ。車を木陰に入れて、一休みする。アシ原からの風は心地いい。約1時間後、ホオジロのさえずりが聞こえ、目を覚ました。「一筆啓上つかまつり候」とばかりに澄んだ声。真夏のアシのてっぺんで、いまだ歌う姿に哀愁を感じる。オオヨシキリの騒がしい声もやみ、静かなアシ原に響き渡っていた。

 遊水地の夏を彩る花にヒルガオがある。アシにつるを絡ませて伸び、淡紅色の花を昼間に咲かせる。アシにとっては迷惑だろうが、いい光景だ。今日も数人の写真愛好家がレンズを向けていた。

 避暑を兼ねて夕方、栃木市の太平山(345メートル)に登った。山頂近くの謙信平という展望台からの眺望は素晴らしく、関東平野が一望できる。風が強く、視界はいい。一面緑の遊水地の後方に、さいたま新都心のビル群。冬は都心の高層ビルまで見えるという。

 夜を迎え、突然に花火がさいたま新都心の東側に上がった。赤い光の小さい輪が次々に闇に浮かぶ。約50キロ離れた花火大会の見物は初めての体験。思いがけない出合いにとても感動した。

 夏休みに入り、アシ原を訪れる家族連れが多くなった。豊かな自然を体験し、いい思い出を作ってほしいと思う。

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