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【2002年10月 渡良瀬有情】

渡良瀬吟行

撮影・文 堀内洋助


 初秋を迎えた藤岡町の渡良瀬遊水地で先月21日、インターネット句会を催す「于論茶論茶」の仲間とともにアシ原の湿地を歩いた。渡良瀬川での吟行は昨年10月の足尾銅山以来。私の同僚である田島力・元宇都宮支局長が支局長時代から作っているホームページ「于論茶」で連載中の「続・渡良瀬有情」を見て、ぜひ現地で中秋の名月を見ながら吟行してみたいという連絡があり、再び案内することになった。参加者は教師、会社員、学生、主婦らなど13人。

 俳句は10人から28点が集まり、「于論茶」の掲示板で23人の選句投票により次のように決まった。最優秀賞の天は「満月や13人で車押す」(かんこ)。地は「渡良瀬に眠れぬ村あり曼珠沙華」(ギオ)。人は「渡良瀬のたちまち昏れて虫時雨」(ぎふう)。と「蘆の闇芋名月を食ひにけり」(ギオ)。かっこ内はハンドルネームで俳号。

 この日は「10年に一度」(地元の人)の壮大な夕焼けが現れ、シラサギの群れが天空に飛び交った。そして、大池で芋煮を食べながら中秋の名月を観賞。実に、いい気持ちの秋の夕暮れだった。しかし、帰り際予期せぬトラブルが発生した。私の車の発電器(ダイナモ)が故障し、交差点の中央でストップ。幸いにも、「于論茶」の仲間が同伴しており、車を押してくれた。その後、JAFに連絡し修理工場へ。満月を見ながら車の中で朝を迎えてしまった。

 選句に参加した詩人の清水哲男さんは、天の句に「なんとなくおかしい。偶然でしょうが「13」という数字がいいですね」と寸評を寄せていた。取材する側の私が取材されてしまうのは皮肉だった。

 惜しくも選外だったが私の好きな俳句は多かった。「月高く化粧紅さす水鏡」(吉本富美子)、「天界を沼に映して冴える月」(徳姫)、「四駆八苦蓄電不発皆逐電」(于論茶)、「オレンジに鷺群映す大鏡」(龍司)、「白鷺のひと刷毛紅に染まる宿」(くりはは)、「中秋の月待つ前の空茜」(しもべ)、「月天心正造のこと忘れない」(伽実)。

 最後に私も一句。「天空に秋の夕暮れ友来たる」。

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