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【2002年11月 渡良瀬有情】

備前楯山の秋

撮影・文 堀内洋助


 足尾銅山の最高峰である標高1272・4メートルの備前楯山に先月中旬、源流の秋を訪ねた。庚申川の銀山平から舟石林道を経て、舟石峠駐車場へ。車を降りると、満天の星が降るように輝いていた。真上の天の川が特にいい。日の出までの約2時間、星空を見ながら仮眠。眠るのが惜しいと思うような至福の時だった。

 備前楯山は1610年、備前(岡山県)出身の治部(じぶ)と内蔵(くら)が銅の露頭を発見したことにその名があるという。徳川幕府直轄地になり、1676年には足尾千軒といわれるほど銅山が栄えたが、幕末期には衰退。明治に入り、古河市兵衛が経営を始め、日本一の銅山となる。産業発展に大きな貢献をしたが、渡良瀬川流域に鉱毒被害を発生させた。1973年2月28日、閉山。

 このような400年の歴史を持つ備前楯山。今は豊かな自然が徐々によみがえり、美しい紅葉を見せてくれる。舟石峠から、樹林の尾根道を歩き、約1時間で山頂。狭い岩場だが、独立峰なので360度の大展望だ。

 約170キロ先の富士山が草木湖の上に望めた。足尾製錬所から上流は煙害のため荒涼とした山肌。舟石峠から西は煙害の被害に遭わず、深々とした緑が連なる。その対照的な光景に心を打たれる。

 先月19日、わたらせ未来基金(飯島博代表世話人)の会員らが、銀山平と備前楯山でドングリ拾いをし、約五千個を集めた。このドングリを各人が苗木にまで育て、再び足尾に持ち寄り植樹する。「足尾のドングリで足尾に緑を」という取り組みをスタートさせた。

 同基金は、現在、ドングリの里親を募集中。ドングリをポットに植え付け、3年ほど育てた苗(高さ70センチ)を足尾に植樹する。ドングリと育て方資料などの送料として里山登録料は千円。問い合わせは、わたらせ未来基金(猿山弘子さん)電話とFAX0282・23・1078。

 私も備前楯山の下山途中にドングリを拾った。早速、6個のポットに植え付けて、自宅のベランダで育て始めた。春に芽が出るか、楽しみだ。

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