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【2003年1月 渡良瀬有情】

遊水地の野鳥

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地に2日未明、雪が降りだした。早朝にはやんで、アシ原は一面の銀世界。やがて朱色の光線が走り、一日遅い“初日の出”を迎えた。正月の朝は曇りで日の出は見られなかった。

 堤防から冬鳥のワシタカ類を観察する。すぐにチュウヒとハイイロチュウヒが雪原を飛んでくれた。この二種は数が多く、遊水地を代表する猛きん。アシ原の生息地が開発で減少し、3300ヘクタールという日本屈指の広大な遊水地が「駆け込み寺」になっているのだろう。

 チュウヒは環境省のレッドデータリストの絶滅危ぐ類で、高い絶滅の危険性に直面している貴重なワシタカ類。遊水地では普通に見られ、野鳥愛好家によると、20羽ほどでないかという。

 ハイイロチュウヒは全国的に個体数が少なく、雄の姿は珍しい。いま雄4羽、雌は7〜8羽という。アシ原に数カ所ねぐらがある。2日夕、観察した場所では雄1羽、雌4羽を確認した。来月2日、日本野鳥の会栃木県支部では遊水地のワシタカを一斉に調査する「渡良瀬遊水池ワシタカカウント」を実施する。午前9時30分に藤岡町藤岡の遊水池会館駐車場集合。例年この二種以外に、オオタカ、ハイタカ、ノスリ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ミサゴ、トビなどが確認されている。調査は今年で12回目になり、これまでの結果から、遊水地はワシタカ類の越冬地として重要な場所と分かってきた。

 昨年12月1日、日本野鳥の会埼玉県支部の探鳥会で、国の天然記念物コクガン5羽が谷中湖で記録された。コクガンは海で生活する、絶滅危ぐ類のガン類。渡りの途中に中継地として利用したのだろう。遊水地の湿地や湖沼が渡り鳥にとって重要なオアシスの役割を果たすニュースだった。

 昨夏、遊水地の二期事業が中止になり、開発から自然保護への動きがクローズアップされている。県は第九次鳥獣保護事業計画で、2005年に遊水地を鳥獣保護区にすると決定した。ラムサール条約登録湿地への活動も活発化。この1年、遊水地の野鳥とともに過ごす日々が続きそうだ。

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