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【2003年11月 渡良瀬有情】

行く秋のオギ群落

撮影・文 堀内洋助


 渡良瀬遊水地の晩秋、白い穂が一面に広がるオギ群落と幻想的に漂う川霧に魅了される。暮れゆく秋を惜しむような郷愁を感じる光景だ。

 土手の上から、アシ原を一望すると、オギとアシ(別名ヨシ)の群落が広がる。ススキに似た白い穂がオギでアシは地味な淡い紫色に見える。この二つの群落は同遊水地約3300ヘクタールの半分の面積を占めている。

 このオギをススキと勘違いする人が多い。同遊水地の植物を研究する栃木県植物研究会の大和田真澄さんは「ススキはほとんど見かけない」と話す。生育環境が違うからで、オギは水辺の湿地に、ススキは山野の乾燥地に見られる。共にイネ科のススキの仲間。オギは花穂の白い毛の部分がススキに比べて長い。秋の七草で有名なススキが一般的に多いので、間違うのだろうか。大和田さんは「群落のオギは地下茎を延ばして一本ずつまばらに立つので歩きやすいが、ススキは株立ちなので密集して歩きにくい」と話す。

 オギはアシに比べて、やや乾燥している所に生育する。そのため、同遊水地の乾燥化の象徴として悪者扱いのイメージで言われてきた。しかし、オギも湿地の植物であり、大和田さんは「オギの群落の方が植物が豊富で、絶滅危ぐ種が多い」とその重要性を語っていた。

 このオギとアシが優占種として広がる同遊水地に、いま秋の川霧が幻想的に漂う。放射冷却で冷え込んだ風のない早朝にその光景は現れる。オギの群落の白い穂とアシの淡い紫色の穂が季節感を出してくれる。行く秋の夜明けの空の色は、たいへん美しい。赤、オレンジ、黄色、青、紫の色彩が次々に変幻する。乳白色の川霧もその色にほのかに染まっていく。

 この遊水地で今年も「わたらせヨシ刈りデー」が、わたらせ未来基金主催で今月30日(日)午前10時から午後3時まで開催される。集合場所は藤岡町の遊水池会館前と谷中村跡地駐車場。刈り取ったヨシは足尾緑化事業に利用したり、肥料化して足尾で使う。問い合わせは、わたらせ未来基金(猿山さん)電話0282(23)1078。

 早くも8日は立冬。木枯らしが吹き始めると、川霧の季節は終わりを告げる。穂が風で散ったオギ群落の彼方に雪の富士山が見られる朝はもうすぐだ。

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