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【2004年2月 渡良瀬有情】

冬の日

撮影・文 堀内洋助


 冬の高気圧に覆われた渡良瀬遊水地の朝、関東平野を取り囲む山並みが一望される。遊水地の中央にある渡良瀬川の新赤麻橋の土手付近からの展望がいい。

 東に筑波山。北に男体山や白根山などの日光連山、庚申山や皇海山などの足尾山塊。北東に赤城山、浅間山。西に三国山や甲武信ケ岳などの秩父山地。南西に富士山。百名山も多く、双眼鏡で望むと雪をかぶったその姿はより感動的だ。

 私はいつも双眼鏡を首からぶら下げてここを歩く。バードウオッチングのためだが、風景にも多用する。視野が実に広がり、自然を人一倍楽しめる。おすすめは300〜500グラムの軽い機種で、倍率は8倍。倍率がこれ以上高いと手ぶれで像が見づらい。値段は5万円前後がいい。少し高いようだが、一生涯使用できると思えば安い。

 この冬、遊水地にフクロウの仲間のコミミズクが五羽ほどの群れで越冬している。ここを観察して10数年になるが、珍しい出来事だ。土手の草原に夕方前、明るい内に現れ、ネズミ類の獲物を狙って飛び回る。

 その理由は餌のネズミ類が多いからという。昨年、遊水地は大雨や台風で冠水がなかったため、カヤネズミやハタネズミの繁殖率が高かったのだろう。日本鳥学会の柴田佳秀さんは「静かにしているとカサカサカサとネズミの音が聞こえる。人間にもわかるので、野鳥は簡単に捕まえることができるだろう」と話す。ヨシ刈り農家の人も、「今年は多く見られる」という。

 遊水地で1日、第13回ワシタカカウントが日本野鳥の会栃木県支部主催で実施された。参加者33名が9カ所で午前10時15分〜午後0時30分まで定点調査。9種60羽を確認した。チュウヒ11、ノスリ23、トビ9、ミサゴ3、ハイイロチュウヒ2、オオタカ6、ハイタカ1、ハヤブサ2、チョウゲンボウ3の各羽。ノスリが昨年より6羽多いのは、豊富な餌のネズミの影響だろうか。

 いま遊水地の冬の風物詩であるヨシ刈りが最盛期を迎えている。ヨシ刈りして約60年の田中逸郎さんは「今年はいいヨシができた」という。暖冬で、枯れるのが遅かったため、いい太さのヨシになった。

 春を告げるヨシ焼きは3月20日の春分の日に決まった。午前8時30分から予定される。雨天中止の予備日は21日と28日の日曜日。自然の営みを撮影していると、四季の移ろいが身近に感じられて心地いい。

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