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【2004年5月 渡良瀬有情】

行く春

撮影・文 堀内洋助


 立夏の5日を過ぎて、暦の上では夏に入った。渡良瀬川流域では青葉若葉が美しい。同日に沖縄では昨年より10日早く梅雨入り。札幌ではようやく桜が開花した。日本列島の自然の営みにあらためて驚く。

 歳時記に「行く春」という季語がある。終わろうとする春のことだが、その春を惜しむ心が込められて、いい言葉だ。春は自然の息吹が野山に満ちあふれ心を癒してくれる。野鳥は春の渡りで移動する、思わぬ珍客に出会う季節でもある。

 先月5日、渡良瀬遊水地にマナヅルが飛来した。日本野鳥の会栃木県支部によると栃木県初記録という。

 確認したのは野鳥観察に訪れていた松永将男さんと野代功夫さん。同日午後、渡良瀬カントリークラブゴルフ場南側のアシ原に舞い降りた。距離は約50メートル。突然の珍客に二人はびっくり。その一瞬は今冬に茨城県に飛来したカナダヅルと思ったという。アシの新芽の湿地を大きな体で優雅に歩き、土の中の餌を食べながら終日滞在していた。

 翌朝8時ごろ、高く舞い上がり飛び去った。松永さんは「ツルが降りた場所は仲間と定期的にゴミ拾いをしている場所で、自然の贈り物だったような気がします」とうれしそうだった。

 マナヅルは目のまわりが赤く、体は白と灰色の大形のツル。冬鳥として毎年鹿児島県出水市に渡来する。繁殖地はシベリア東部のアムール川流域。個体数は少なく、環境省のレッドリストの絶滅危ぐ種に指定。遊水地の野鳥を観察する日本野鳥の会会員の内田孝男さんは「マナヅルはたまたま違うルートで来たが、ツルが降りてくれる豊かな自然の雰囲気があったのだろう」と話している。

 先月25日、足尾町大畑沢緑の砂防ゾーンで足尾に緑を育てる会主催の「春の植樹デー」が行われた。足尾の山に緑を取り戻そうと始まった植樹活動も、今年で9年目になる。活動の輪も着実に広がり、今回は約800人が参加し、約4000本の苗木が植えられた。

 足尾の山で拾ったドングリを自宅で育てて持参した子ども。庭に咲くツツジを植えた家族連れ。3年前に植樹した木が大きくなり、歓声を上げる親子も。行く春に心地いい汗を流していた。

 今後は7月19日(月・海の日)に夏の草刈りデー、11月14日(日)に秋の観察デーが予定される。集合は午前9時30分・足尾町の大畑沢緑の砂防ゾーン駐車場。問い合わせは「足尾に緑を育てる会」電話0288・93・2180

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