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【2005年1月 渡良瀬有情】

冬の朝

撮影・文 堀内洋助


第7回目・初日の出

 初日の出を渡良瀬遊水地のアシ原で迎えた。濃霧が消えて、雲と雪原があかね色に染まり、荘厳な初日を拝むことができた。15年間ここで初日の出を撮る地元の写真作家の中田友一さんは「雪の初日の出は初めて」と感激していた。宇都宮地方気象台によると、宇都宮で大みそかに降った雪は41年ぶりという。

 アシ原の隅に「カメラマンの木」と呼ばれるポプラがある。この木を入れて日の出を撮ると、遠近感のある雄大な光景を写真に収められる。地元の写真愛好家らが撮影場所を語る愛称で呼んでいたのが、自然に定着したらしい。

 この木は以前、5本立っていたが、毎春に実施されるヨシ焼きで燃えて、いま2本が残るだけだ。この木は勢いがあり丈夫なのだろう。写真愛好家を入れて、この木を狙うと、真ん中から初日が昇ってきた。まるで鳥居から現れたように感じられ、思いがけない”初詣”に手を合わせた。

第8回目・写団・渡良瀬

 渡良瀬遊水地の風景に魅せられた写真愛好家らが先月、「写団・渡良瀬」を結成した。地元の人が中心で会員は15名。写真集「渡良瀬光彩」を出版した藤岡町役場に勤める中田友一さんは「関東から多くの人が遊水地の自然を撮りに来てくれる。毎日通える地元の眼で、渡良瀬だけにこだわって写真活動をしていきたい」と抱負を語る。

 いまは有名撮影地として知られる渡良瀬遊水地だが、中田さんが撮影を始めた15年前はまだ”無名”だった。ある写真コンテストの応募で、有名写真家の寸評が奥日光・小田代原の風景と勘違いしていたという。その後、アシ原の四季の移ろいの写真はコンテスト入賞作品の常連となる。

 本紙連載の「渡良瀬有情」取材班として私が訪れたのは、1990年暮れだった。自然と人間の営みに感動し、その後も通い続けてしまった。渡良瀬の風景は人々の心を魅了して止まないのだろう。

第9回目・イタチ

 渡良瀬遊水地で今月10日夕、目の前で偶然ニホンイタチに出会った。冬枯れた土手の草地に現れ、ネズミの巣穴を掘り始めた。数カ所掘り、巣穴に上半身を潜り込ませてハタネズミを捕獲した。その場で食べずに口にくわえて土手から渡良瀬川に移動した。冬毛の黄褐色が鮮やかだった。

 遊水地に生息する動物は、イタチ、タヌキ、キツネが知られる。主として夜行性なので見かけることは少ないが、昼間も活動するイタチは訪れると必ず姿を目撃する。用心深く、すぐにアシ原に隠れてしまうので撮影は難しい。今回、10数から、じっくり観察できたのは幸いだった。

 イタチの主食はネズミや魚など。遊水地のアシ原はハタネズミやアカネズミやカヤネズミなどネズミ類が豊富だ。ネズミは植物などを食べ、植物は太陽の恵みで成長する。イタチの天敵は猛きん類やキツネ。豊かな食物連鎖がある遊水地の自然は素晴らしい。

第10回目・アシ原の富士山

 20日の大寒が過ぎて、渡良瀬遊水地は一番寒い季節を迎えている。足尾山地から吹く空っ風は強くて冷たい。空気が澄む冬の醍醐味は約130キロ離れた富士山がアシ原のかなたにくっきり姿を見せること。心癒す光景である。

 国土交通省関東地方整備局企画部が「関東の富士見100景」を募集中だ。今年3月末まで。第一次選考で63景が選ばれた。目的は富士山への良好な眺望を得られる地点を選定し、周辺景観の保全や活用への支援を通して美しい地域づくりの推進という。いま湿地が減少しアシ原の景観は貴重になった。遊水地からの富士見はどうだろうか。

 第一次募集で、茨城県は岩瀬町の富谷山ふれあい公園、境町の利根川境河岸付近堤防。栃木県は田沼町の道の駅どまんなかたぬま。群馬県は太田市の中島記念公園、六合村の野反峠が選ばれた。問い合わせは同部企画課事業景観係TEL048・601・3151

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