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【2005年2月 渡良瀬有情】

早春の光

撮影・文 堀内洋助


第11回目・ヨシ刈り

 渡良瀬遊水地の旧谷中村遺跡周辺のアシ原で28日、古河市の古河第七小学校の5年生87人がヨシ刈りを体験した。総合学習の授業で、平成13年度から実施され、今年で4回目。市民グループ「わたらせ未来基金」とボランティアの指導を受け、背丈の倍以上のヨシを約1時間かけて、大きなはさみで刈り取った。「とても楽しかった」と子どもの声が弾んでいた。

 刈り取ったヨシは学校に持ち帰り、全学年でヨシズを編んで作る。春に上流の足尾町に送り、植樹した苗木の周りに敷かれ、たい肥や土留めとなり、煙害で緑を失った山の緑化に役立てられる。苗木は子どもらが秋に、足尾のドングリを持ち帰り育てている。

 同校は自然環境の保全に関して顕著な功績を認められ昨年春、平成16年度「みどりの日」自然環境功労者の環境大臣表彰を受賞した。苗木は大木になり豊かな森を作る。渡良瀬の未来が楽しみだ。

第12回目・ワシタカ調査

 日本野鳥の会栃木県支部と市民団体「渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会」は6日、渡良瀬遊水地でワシタカ類の生息調査を行った。1992年から始まり、14回目となる今年は過去最多の約60人が参加した。強い北風が吹く中、遊水地内の10カ所で午前10時から2時間半にわたって実施。望遠鏡や双眼鏡で観察し、無線で連絡を取りながら数の重複に注意した。

 確認されたのは、チュウヒが8羽、ノスリ18羽、トビ29羽。さらにミサゴが5羽、ハイイロチュウヒとオオタカとチョウゲンボウが4羽ずつ、ハイタカとハヤブサが各1羽など9種類、計74羽。ミサゴは過去最高で、チュウヒのねぐら調査では、例年並みの約30羽飛来という。

 同支部の高松健比古さんは「遊水地は全国でも5本の指に入るワシタカ類の重要な越冬地。ラムサール条約の登録湿地指定への大きなデータになる」と話していた。

第13回目・谷中湖夕景

 渡良瀬の自然がNHK「地球・ふしぎ大自然」で、放映される。今月28日午後8時から、シリーズ「人が育んだ日本の緑」(1)〜帰ってきたツキノワグマ 足尾銅山の森。同シリーズ2回目は3月7日午後8時から「東京発一時間の大湿原 渡良瀬遊水地」。辛酸な歴史のあった渡良瀬川の上流と下流の人間と自然の営みの今を伝える。

 遊水地編は、制作プロダクションのディレクター柴田佳秀さんとネイチャーカメラマン佐久間文男さんが約1年余通い続けた。私も少しばかり同行した。柴田さんは「ヨシの生み出す水滴に光る葉先でさえずるコヨシキリ。カッコウの托卵(たくらん)、ツバメの大群。ヨシ霧やヨシ焼きの雄大さ」が忘れられないという。

 番組は日本の公害の原点といわれる足尾の山に森と生き物が復活し、失われた自然の再生を見つめる。そして、遊水地が植物や野鳥などの自然の楽園となった秘密を探る。

第14回目・サケの放流

 群馬県館林市大島町の渡良瀬川で27日、「渡良瀬川にサケを放す会」(広瀬武代表)がサケの稚魚約2万匹を放流した。家族連れなど約350人の参加者は自分で育てた体長5センチほどの稚魚を水槽などに入れて持ち寄り、「元気に戻って来いよ」と声をかけながら見送った。稚魚はここから約153キロ先の太平洋に向かい、3、4年後に70センチほどに成長して産卵のため戻って来るという。

 「足尾に緑を、渡良瀬に清流を」の願いで、1982年2月に始まったこの放流事業は、今年で24回目。昨年は足利市の渡良瀬川漁業協同組合が遡上(そじょう)したサケを100匹ほど確認した。この数倍は回帰しているという。産卵床も確認された。

 江戸時代にはサケがたくさん遡上したという。明治に足尾鉱毒事件が起こり魚が大量に死に、サケの姿は消えてしまった。渡良瀬川が死せる川となった悲しい歴史がある。

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