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【2005年9月 渡良瀬有情】

秋の朝

撮影・文 堀内洋助


第34回目・イトトンボ交尾

 渡良瀬遊水地で3日、同地の植物を長年調査する大和田真澄さん主催の植物観察会が行われた。関東各地から30数名が参加し、貧栄養性の湿地に咲く植物を中心に観察。かれんな黄色い花の食虫植物ミミカキグサや主に山の湿地に生えるイトイヌノヒゲに人気が集まった。ほとんど見られなくなっているという。

 足尾鉱毒事件以来、旧谷中村に渡良瀬川の土砂が堆積して富栄養性の湿地になったが、堆積土が少ない第三貯水池北部の一角はまるで高層湿原のよう。植物は自然の風景を変えていく。多様な植物を育む遊水地で大和田さんは、きれいな花の咲く植物ツリフネソウの新種を発見した。「ワタラセツリフネソウ」と命名され、21日から富山県で始まる日本植物学会で発表される。

 観察会の早朝、湿地の水辺でアキアカネ、ウチワヤンマなど多くのトンボに出会った。印象的だったのはアジアイトトンボの交尾。連結してハート型のような空間を作る小さな生命の営みに感動した。

第35回目・シラサギ大群の飛翔

 渡良瀬遊水地に本格的な秋の到来を告げるシラサギの大群が見られるようになった。夏の終わりからシラサギのねぐらの数が増加を始め、いま500羽を越える。コサギ、チュウサギ、ダイサギに混じってアマサギが目立つ。

 水辺で夜を過ごしたシラサギは、夜明けごろ一斉に飛び立つ。緑濃いアシ原に舞う白い姿は実に印象的。昼間は稲刈りが行われる周辺の田んぼで、カエルや昆虫類などを捕食する。コンバインの周りに群れる姿は秋の風物詩だ。ねぐら入りする夕方、運がいいと夕焼けに舞う姿が見られる。豊かな湿地は野鳥が夜を過ごす心地いい場所なのだろう。首都圏に残された貴重な野鳥のオアシスのようだ。

 広大な湿地に淡い紫色のアシと白いオギの穂が咲き始めた。ススキと良く間違われるが、ここは湿地帯なのでススキは生育しない。先週末から朝の冷え込みが始まり、美しい川霧が漂う季節も近い。

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