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【2006年8月 渡良瀬有情】

谷中廃村百年目の夏

撮影・文 堀内洋助


第71回目・遊水地の漁師

 盛夏を迎えた渡良瀬遊水地にある谷中橋付近の水辺はカワセミ、ササゴイ、シラサギ類など水鳥の姿が多く見られる。魚が豊富なのだろう。カワヤナギなどの立ち枯れが林立し異彩を放っていた。

 この水辺で長年漁をする堀江清さんに5日朝、出会った。茨城県古河市総和町で天狗食堂を営み、捕れた魚を店に出す。魚の種類は、春から秋はカワエビ、夏はウナギやモズクガニ、ザッコは冬が多く、ナマズは一年中という。「ナマズ定食(1000円)は人気ですよ。専門で漁をするのは私だけになった」と話す。

 谷中村廃村百年でこの夏、「第34回渡良瀬川鉱害シンポジウム」が開催される。日時は8月20日午後1時から。場所は栃木県藤岡町の遊水池会館。谷中村の遺跡を守る会など五団体の共催。廃村の事実経過と遊水地の現状などを考える。資料代1000円。問い合わせは板橋文夫さん=電0480(52)5991=へ

第72回目・渡良瀬川鉱害シンポジウム

 「谷中廃村百年・悲劇をなくすために」をテーマに、第34回渡良瀬川鉱害シンポジウムが20日、栃木県藤岡町の遊水池会館で開かれた。渡良瀬川研究会など5団体が共催し約120人が参加。

 講演で廃村について、谷中村の遺跡を守る会の針谷不二男氏は「479戸あり、みんな大変な苦労をした」と語った。渡良瀬川研究会の布川了氏は利島・川辺(現北川辺町)は残って、谷中村が滅亡した原因を解説。足尾鉱毒事件田中正造記念館の牧野喜好氏は田中正造に学び水俣で闘う20年間を報告した。

 渡良瀬遊水地の現状については日本野鳥の会の高松健比古氏が「優れた湿地環境と生態系、貴重な動植物を未来へ残すためにラムサール条約登録地にしたい」と話した。また、渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会の嶋津暉之氏は「第2貯水池500万立方メートルを掘削しても治水対策の役には立たない」と開発計画を批判した。

第73回目・赤貧洗うがごとき

 谷中村廃村百年企画として、田中正造のドキュメンタリー映画「赤貧洗うがごとき」が約一年間の制作を終えて、このほど完成した。

 日本の公害の原点である足尾鉱毒事件で、実り豊かな二つの村が消された。煙害による松木村と鉱毒沈殿池となった谷中村である。この時「渡良瀬川沿岸の民を殺すことは、日本を亡ぼすことだ」と立ち上がったのは田中正造と「野に叫ぶ人々」であった。同作品は、田中正造の豊富な資料や関係者の証言を下に制作されている(95分)。

 同映画のプロデューサー吉村廣重氏は「田中正造を現代に伝えることができた。日本中から世界に発信していきたい」と抱負を語る。

 最初の上映は9月9日、古河市公会堂で午前10時から四回。次は20日と29日、佐野市文化会館小ホールで開催。鑑賞券は一般1500円(前売り1200円)、シニアと高校生1000円、中学生以下500円。

番外編・初秋の夕暮れ

 淡い黄色に染まった初秋の夕暮れ、水辺の上をシラサギの群れがねぐらに向かう。後方は赤城山

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