東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 栃木 > 渡良瀬有情 > 2006年度 > 2006年12月

ここから本文

【2006年12月 渡良瀬有情】

冬の魅力

撮影・文 堀内洋助


 植物が眠り、褐色の風景が広がる渡良瀬遊水地の冬。この季節ならではの自然の営みに出会うと心が癒やされる。魅力的なポイントは多いが、3点を紹介したい。

 まず、越冬に訪れる猛きん類が多く見られることがいい。広大なアシ原は食物連鎖の頂点に立つ猛きん類にとって、最高の餌場を提供している。小鳥とネズミ類が豊富なのだ。特筆すべきはハイイロチュウヒとチュウヒ。その数は東日本最大という。チュウヒは30羽を超え、愛鳥家に大人気のハイイロチュウヒの雄は4羽も毎年見られる。アシ原にねぐら入りするコチョウゲンボウの群れ、悠然と飛ぶハヤブサ、木の茂みでひっそりと獲物を狙うオオタカ、水中に飛び込み大きなコイやフナを捕るミサゴ、チュウヒと同様に数が多いノスリとトビ、土手でホバリングしてネズミ類を捕るチョウゲンボウ、夕方に土手の草地を飛び回るコミミズク、夜中に狩りをするトラフズクなど。

 観察場所は遊水地のほぼ中央にある渡良瀬川の新赤麻橋東詰がいい。通称「鷹見台」と呼ばれ、多くの愛鳥家が訪れる。アシ原を一望でき、必ずワシタカ類を見ることができる。20台ほど駐車スペース有り。次に鮮やかな朝夕の冬空の移ろいが感動的だ。年末年始の日の出は午前6時50分ごろ。約40分前から、地平線が濃紺から紫、赤、オレンジ、黄へと色を変幻する。同時に空の明るさが星を消していく。天地創造のような地球の息吹を見せてくれるのが冬の朝だ。夕暮れも同様に素晴らしい。日没後、約20〜30分が壮観だ。広大なアシ原がこの感動を演出しているのだろう。この10年、初日の出で訪れる人が多くなった。遊水地の西側の土手から地平線を見るのがいい。駐車スペースがなくなるので、約1時間前には到着したい。そして、西高東低の冬型の気圧配置の朝、アシ原越しに見る秀麗な富士山。遊水地の東側の土手からがいい。冬木立の彼方に望む冬富士はまさに日本画の世界だ。心が癒される。約130キロ離れているとは思えないほど、身近に感じられる。日没後、夕焼けの空にシルエットで浮かぶ光景も異彩だ。この冬に、遊水地を訪れて素晴らしい自然を体験してはどうだろうか。人を元気にさせる森林浴のような「アシ原浴」が包み込んでくれるだろう。

バックナンバー