22日間埋まっていた母、遺体に面影はなかった…熱海土石流 被害者の会会長、違法盛り土の実態訴え

2021年12月7日 07時14分

土石流について語る瀬下さん=小田原市で

 静岡県熱海市で七月に発生した土石流災害を受け、遺族らでつくる被害者の会会長の会社員瀬下(せしも)雄史さん(53)=千葉県=を講師に招いた「人災か?天災か?−熱海盛り土流出事故の実態から考える−」が五日、小田原市で開かれた。瀬下さんが事故について講演するのは初めて。講演や終了後の取材で「違法盛り土は日本中に存在する。制度を抜本的に見直すため、要望があれば今後も講演したい」と述べた。(西岡聖雄)
 土石流の犠牲者は二十六人で、女性一人は今も行方不明。瀬下さんは母(77)を亡くした。土中に二十二日間埋まっていた遺体と対面した時、生前の面影は一切なかったという。
 瀬下さんは、講演で「生き埋めになりました」と会員制交流サイト(SNS)で助けを求めながら死亡した女子高生(17)、五歳の女児を残して犠牲になった母親(44)らの事例を、声を詰まらせながら紹介した。
 盛り土の造成が被害を甚大化させた、とされる点については「元々の地盤は強固な岩盤で、土石流はすべて盛り土」と主張。造成した小田原市内の不動産管理会社(清算)らの責任のほか、(1)不適切な盛り土工法を把握しながら許可した(2)届け出の三倍の盛り土になった(3)法的拘束力のある措置命令を見送った−として、熱海市の対応も問題視した。
 八月に二十人で発足した被害者の会は現在、七十人に拡大。今回の土石流を人災と捉え、集団訴訟の勝訴や盛り土を巡る法整備、違法業者の排除などを最終目標に、永続的に活動する考えを表明した。
 満席の百三人が参加し、会場で集まった訴訟費用のカンパ六万四千二百円が贈られた。
 主催した実行委員会の佐々木ナオミ神奈川県議は「各自治体の条例の内容がバラバラ。規制が緩い自治体や条例のない自治体へ運ばれた盛り土は、適正処理されたか確認できず、全国一律の法制化が必要」と強調した。
 小田原市早川地区のミカン農家の男性も登壇し、三年前に土地所有者に無断で大量の残土が不法投棄された事案を紹介。複数の農家で抗議すると、投棄した業者は居並ぶダンプカーの運転手らに「逮捕されてもいいから捨てろ」と指示し、農家側に「一台五万円払えば引き上げる」と発言。名刺の住所などは実在していなかったと明かした。

関連キーワード


おすすめ情報

神奈川の新着

記事一覧