「①農場+②食品加工+③販売=6次産業化」で空きビルを再生 横浜の人材派遣会社ジョビアの吉備カヨさん<マイストーリー>

2022年3月6日 05時58分
空きビルをカフェなどに再生したジョビアの吉備カヨ社長=写真はいずれも横浜市神奈川区

空きビルをカフェなどに再生したジョビアの吉備カヨ社長=写真はいずれも横浜市神奈川区

  • 空きビルをカフェなどに再生したジョビアの吉備カヨ社長=写真はいずれも横浜市神奈川区
  • LED照明を使うビル3階の水耕栽培農場。約10種類の葉物野菜を栽培する
  • ビル3階で採れた野菜を2階でケーキや料理に加工
  • ビル内で栽培した野菜などを扱う1階のカフェ
  • 6次産業化する前の築40年のビル㊧(ジョビア提供)と、6次産業化で生まれ変わったビル
横浜市の人材派遣会社ジョビアの吉備カヨ社長(56)が、コロナ禍で飲食店などが撤退した築40年の空きビルを「6次産業化」して再生させる挑戦を始めた。5階建ての自社ビル3階を水耕栽培農場(1次産業)に改装。2階で料理や菓子などに加工(2次産業)し、1階の売店やカフェで販売(3次産業)する。「1+2+3=6」。吉備さんは「コロナ禍で職場を失った人に少しでも仕事を提供できれば」と話す。(池井戸聰)

◆コロナで売り上げ半減

 「会社の売り上げは半減したが、何よりつらかったのは、働きたい人は多いのに仕事がなくなったこと」
 吉備さんはこの2年間を振り返る。母から継いだ会社は創業63年目。約3000人が人材登録し、東京や横浜の百貨店や流通企業などで働く。だがコロナ禍で多くの仕事が消えた。
 昨年1月には経費節減のため横浜駅前にあった事務所を、東急東横線東白楽駅前の5階建て自社ビル(同市神奈川区、各階約70平方メートル)に移転。追い打ちを掛けるように、前年に閉店した1階の担々麺店に続き、2~3階に入っていた事務所が撤退。1~3階に誰もいなくなってしまった。

◆「スーッと発想が降りてきた」

 どうするか。考えていると「自分たちで仕掛けなければ。何かを作り込んだり接客したりが大事、という6次産業化の発想がスーッと頭に降りてきた」。
 さらに「SDGs(持続可能な開発目標)の観点も重要」と、ビル内で野菜を生産し加工・販売する、地産地消ならぬ「ビル産ビル消」を目指した。英語の「sustain(維持する・元気づける)」と「us(私たち)」からビルは「サステナス」と命名。国の事業再構築補助金の支給を申請して採択され、全面改修に踏み切った。

◆念願の雇用も生み出す

 現在、発光ダイオード(LED)照明を使い10種類ほどの葉物野菜を栽培。育てたハーブなどを材料にしたケーキや料理を、1月に開業した1階のカフェ兼売店「アイコニックステージ」で提供する。事業には約20人の従業員がかかわり、念願だった雇用を生み出すこともできた。
 「将来は製造したお菓子を東京などでも販売したい」と吉備さん。まずは4月5日から伊勢丹新宿店で開かれる催事「フランス展」に出展し「キューブケーキ」などを販売する予定だ。

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