<新型コロナ>「緊急速報メール」で自粛要請はあり? 神奈川県・黒岩知事、GWにメッセージ

2020年5月8日 09時46分

スマホに送られてきた黒岩祐治神奈川県知事の緊急速報メール

 今年のゴールデンウイーク。神奈川県に住む人の中には聞き慣れないスマホや携帯電話の音に驚いた人もいただろう。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、黒岩祐治知事が「緊急速報メール」で外出自粛を求めたのだ。だが、さんざん聞かされている自粛要請は少なくとも「不急」。災害が差し迫っている時のツールを、そんな目的で使っていいのか。 (稲垣太郎)

◆「テレビで知ってるのに速報?」県には抗議の声相次ぐ

 「怖い音が鳴ったので画面を見たら、外出自粛の要請で拍子抜けした。テレビなどで知っていることを速報メールで流すんだと驚いた」。横浜市内で自然食品小売店を経営する保田亜紀子さん(43)は振り返る。 五月二日午前十時。保田さんをはじめ神奈川県民や、隣接する東京都の一部の人のスマホがベルのような音で「ピポピポリン」と鳴った。画面には黒岩知事のメッセージが表示された。 「GWはがまんのウイークです。今日から大型連休後半の5連休」で始まり、「今は神奈川から出ないでください。そして、今はできるだけ家にいてください」。こんな内容だ。 横浜市の無職男性(74)も「何を今更という外出自粛要請を、しかも緊急速報メールでわざわざ送る必要があるのかとあきれた」と苦々しく話した。 県には抗議が相次いだ。県総務危機管理室の担当者は「『びっくりした』『音が大きい』『まだ寝ていた』などの電話を多々いただいた」と語る。件数は分からないという。

◆規約変更で自粛要請での使用可に

 緊急速報メールはそもそも、災害時の発生情報、気象や噴火の特別警報、弾道ミサイル情報などが出た時に流す。危機が迫っている時に注意を促すものだ。 自粛要請に使っていいのか。総務省事業政策課によると、新型コロナの感染拡大を受け、一部の自治体から要請があった。同省は携帯電話会社に伝え、会社間の協議で規約を変更した。これにより都道府県や市町村が、自粛要請を流せるようになった。 とはいえ、実行した都道府県は神奈川県と高知県、北海道にとどまった。どのような判断から神奈川県は緊急速報メールを流したのか。神奈川県の担当者の答えは「せっかくできるようにしてくれたので、活用しようと考えた」だった。

◆専門家「緊急性なければ信頼度落ちる」

 ゴールデンウイーク中には四日深夜と六日未明の二回、関東各地に緊急地震速報も出た。今度は「グワッグワッ 地震です」という音とともに、緊急速報メールがスマホに届いた。 気象庁によると、最大震度5弱以上の揺れを予測した際、震度4以上となりそうな地域に速報を出す。すべて自動で処理され、人間の判断は加わらない。実際は二回とも最大で震度4。それも狭い地域だった。 速報が鳴っても、大半の人は震度1から3の揺れを感じただけだった。大事でなかったのは幸いだし、技術的な限界もあって正確な速報をするのは難しいのだろう。だが、肩透かしに感じた人も多かったはずだ。 防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏は「緊急速報メールは本来、一分一秒を争う危機を、多くの人が持っている携帯電話やスマートフォンに伝えられれば、と始まったはずだ。しかし、緊急性がないものが重なれば、信頼度が落ちていく」と指摘。流すか流さないか自治体が判断できる外出自粛の要請について、渡辺さんは「違法ではないが、緊急性はない。緊急速報メールを使うには慎重さが求められる」と語った。

関連キーワード


おすすめ情報

社会の新着

記事一覧