<ひと物語>ドローン 人のために 卒業・入学生へ桜と学校の映像 高木健司さん

2020年6月22日 07時33分

空撮用の大型ドローンを手にする高木さん=入間市で

 豊岡、金子、高倉…「広報いるま5月号」表紙のQRコードを読み込むと、ほんのりピンクの桜に彩られた入間市内の各小中学校の空撮映像が次々に現れた。ドローンによる空撮やパイロット養成事業を手掛けるアルサ埼玉(同市)の高木健司事業本部長(51)が、思いを込めて市に無償提供したものだ。
 「新型コロナウイルスによる休校措置のため、卒業・入学式に臨めなかった子どもたちがいる。式への思いを募らせている彼らに、桜と学校をコラボさせた映像で応えようと考えた」
 高木さんはドローン操縦のエキスパート。今春、ドローンに備え付けたカメラを駆使して特産の狭山茶畑の育成管理に乗り出した。
 市と災害時協定を結び、昨秋の台風襲来の際には、安全な場所にいながら河川の氾濫状況などを把握した。「ドローンで、河川敷に取り残された人へ無線機や救助ロープを届けることもできる」と踏み込んだ活動も視野に入れる。
 「人のためになること」が高木さんの根底にある。「荒れていた」と振り返る十代後半、自立支援施設である関東地方の仏教法人に預けられたことがきっかけになった。
 「指導してくださった花輪次郎さんは、他人の幸せのために自分の人生をかけていた。その姿を見て、僕はがらりと変わった。真面目に働かなきゃと思った」
 家業の工場を継ぎ、二十代で光ケーブル通信工事会社を立ち上げたが、東日本大震災による受注減で倒産の憂き目に遭う。知人のつてで、福島県のドローン事業「アルサ」へ転職した。

アルサのドローンスクールから。輪をくぐらせたり、決まった場所へ着地させたりする操縦術を学ぶ

 「趣味のカメラでは考えられない、想像を絶する画角の広さに魅了された」。事業のノウハウを覚え、必要な資格を取得。「ドローンで入間の人たちに感動を与えたい」と二〇一七年、故郷に事業所設置を申し出た。
 それから三年。「ドローンに対する信頼度はまだまだで、皇居で飛ばすとか、いたずらのイメージが強い。信頼を深めるには実績を残しながら、(モットーである)人のためになることを重ねていくことだ」
 尊敬するのは坂本龍馬。高木さんの事業所では、かつて龍馬が学んだ海軍士官養成所「神戸海軍操練所」をもじった「無人航空機操練所」ののれんが来客を出迎える。
 高木さんは「ドローンは進化を続けている。活用方法は無限にある中で、人のためになることを見つけていきたい」と先を見据えた。 (加藤木信夫)
<たかぎ・けんじ> 入間市出身。関東地方の自立支援施設を卒業後、家業の精密機器塗装業、自動車整備業、光ケーブル通信会社経営などを経てドローンと出合う。2017年からドローン事業のアルサ埼玉事業本部長。国土交通省認定「ドローン操縦技能証明書」のほか、小型移動式クレーン、小型船舶操縦、フォークリフトなどさまざまな免許を所持し多角的に活動している。

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