登録者14万人 伯山「オンラインで講釈場」大入り コロナ禍、底上げに奮起「先行投資」

2020年7月17日 07時47分

「オンライン釈場」について話す神田伯山=東京・浅草で

 人気講談師の神田伯山(37)のユーチューブチャンネルが、視聴登録者十四万人を集める大ヒットを記録、盛り上がりを見せている。新型コロナウイルスの影響で公演が開催できない中、江戸期や明治期に流行した講談専用の寄席「講釈場」の復興を夢に掲げる伯山が一念発起。「オンライン釈場」と名付けた企画を精力的に配信している。伯山は「家にこもるお客さまがいるからできる講談の広げ方を考えた。結果的に講談を知る人が増えた」と手応えを語る。 (ライター・神野栄子)
 ユーチューブチャンネル「神田伯山ティービィー(伯山TV)」の「オンライン釈場」は五月二十三日の第一回を皮切りに、今月四日には第四回が配信された。毎回伯山のほか、自身が所属する日本講談協会の真打ちと二つ目が計三人ずつ出演し、高座を披露している。
 伯山TVは襲名を機に二月に開設。折しもコロナ禍で公演中止や延期が相次いだため、講談を知ってもらおうと、初心者向けに「オンライン釈場」を企画すると、登録者が急増した。当初は無料で配信していたが、「投げ銭」のシステムを導入、無観客での期間限定配信をスタートさせた。講談界きっての集客力を誇る伯山は「受け皿になったのがユーチューブ。今本当に発信したいものを自分たちの尺で発信できたという自信がある」と率直に語る。
 三、四回目の収録は、自身の会が開催できなくなった東京・イイノホールで行われた。無観客だったが、由緒ある舞台で一席読んだ二つ目の神田紅佳は「緊張したが、配信後は私と視聴者がつながる糸口になった」と“伯山釈場”の意義をかみしめる。

「オンライン釈場」から熱演する伯山(c)神田伯山ティービィー

 講談の一席に加え、出演者が本音で語り合う「伯山トーク」も配信。伯山によるゲスト紹介の妙が人気を得た。例えば、ベテラン神田愛山の際には「愛山先生は腕は一流なんですが、疵(きず)がある。どういう疵かというと暗いんです」と張り扇をバチッと鳴らして笑いを誘う。ネット機能を使った視聴者からの書き込みも随時届き、演者のモチベーションも上がった。
 投げ銭については「三万円いただくこともあったが、金額はまちまち。しかし、芸ってただじゃない、わずかでもお金を払って見るものだという意識付けにもなった」と効果を語る。
 気軽に鑑賞できるユーチューブで、視聴者は講談師の名前や顔を知り、物語の面白さにも触れた。約二十人のメンバーを出演させるためには継続が必要で、次回配信に向け準備を進めている。ウィズコロナ、ポストコロナを見据え、「(寄席などに観客を)詰め込むのは好きでないので、快適な空間の中で仕事ができればいいなと思っていた。いい転換期だと思う」と先を見据えている。
 図らずも「講釈場」がオンライン上で実現したが、赤字は覚悟の上。「先行投資です。ここでつながったお客さまが寄席や講談会に来てくれればいい」と底上げに躍起となっている。夢の講釈場の実現に向け「三十年はかかる。イメージは湧かないけど、最新技術を投入した小屋になるでしょうね」と話す。
 こうした伯山の活躍に日本講談協会の神田紅会長は「講談のうまさに加え、講談界に愛情を持っている。先頭を走り続けて、講談ブームを仕掛けてほしい。私たちも大いに刺激を受け、講談に磨きをかけていきたい」と話す。
 「神田伯山ティービィー」はhttps://www.kandahakuzan.jp/youtube/で視聴できる。

ゲストと語り合う「伯山トーク」も人気(c)神田伯山ティービィー

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