有効求人倍率1.11倍 5年8か月ぶりの低水準 コロナの影響で失職者増え、企業は求人絞る 

2020年8月1日 06時00分
 厚生労働省は31日、職を求める人に対する求人数を示す「有効求人倍率」(季節調整値)の6月分を発表、前月から0・09ポイント低下の1・11倍と5年8カ月ぶりの低い水準になった。コロナの影響を受けて急増した失業者らによる新規求職件数が、同18・2%増と過去最大の伸び率を記録した。企業側が求人を絞る中で、労働市場は「次の仕事」を見つけにくい状況に陥りつつある。
 横浜市内の50代女性は4月中旬、アルバイトとして1日10時間働いていたホテルから休業を命じられた。失職を想定して次の職を探してきたが、ホテルを3社回って全て断られ、飲食店にも断られた。理由はいずれも「コロナからの回復が見込めない」。
 7月中旬には正式に解雇され、休業者から失業者に変わった今も求職活動を続けている。女性は「友人から借りた3カ月分の生活費を返さないといけない。一刻も早く次を探したい」と焦りをにじませた。
 新規求職者の内訳(原数値)をみると、会社都合で離職した人の求職数が前年同月比81・7%増の9万8000人分にも達した。大部分はコロナの影響で企業に整理解雇などの形でリストラされた人たちとみられる。自己都合などを含めた離職者全体でも同28・4%増えた。休業者らが収入減などを理由に、在職しながら次の仕事を探す傾向が強まったのも原因。緊急事態宣言の影響で、パートなどをやめて「家事労働者」となっていた女性らが求職に転じたこともある。
 この結果、有効求人倍率の分母に当たる月間有効求職者数(季節調整値)は前月比5・4%増。一方、先行き不透明感が強まる中で企業は採用を絞っており、分子に当たる月間有効求人数は1・9%減少。倍率は六カ月連続で縮小した。
 日銀元審議委員の木内登英氏は「経済が急速に戻る可能性は相当低く、採用抑制や人員整理、倒産が増えるだろう。雇用の悪化は今後が本番」と見通した。
 一方、総務省が発表した労働力調査では、就業者数が前年同月比77万人減、中でも非正規労働者は104万人も減った。急増していた休業者は職場に復帰するなどして、5月の423万人から236万人に減った。完全失業率(季節調整値)は前月比0・1ポイント改善し2・8%となった。(渥美龍太)

関連キーワード

PR情報

経済の最新ニュース

記事一覧