気候変動サミットに温度差 米国は50%削減厳しく、中国は事実上数値目標なし

2021年4月24日 06時00分
22日、ホワイトハウスで演説するバイデン米大統領=AP

22日、ホワイトハウスで演説するバイデン米大統領=AP

 【ワシントン=金杉貴雄、吉田通夫】バイデン米大統領が主催する気候変動サミットは22日、オンラインで各国首脳が演説した。日米など複数の国が温室効果ガスを削減する2030年目標の引き上げを表明したが、実現の道筋は見えない。圧倒的な世界最大の排出国の中国は30年までの明確な削減目標をサミットでは示さず、各国の「温度差」が浮き彫りとなって楽観はできない。

◆米国の削減は10年で4%のみ

 「『気候危機』の最悪の結果を回避する決定的な10年となる」。米国が2030年までに05年比で50~52%温室効果ガスを減少させるとの新目標を表明したバイデン氏は「次の10年の重み」を強調した。
 バイデン氏にとってサミットはトランプ前政権の方針を転換し、気候変動対策で米国が世界をリードするとアピールする舞台。野心的な目標設定は是が非でも必要だった。
 ただ実現の過程は心もとない。2019年までの10年で米国が削減できた年間排出量はわずか4%。それを次の10年で一気に50%以上削減するのは並大抵のことではない。米国は10年ごろから「シェール革命」に沸き、現在も天然ガス・石油を使用する「化石燃料大国」。業界の雇用環境の転換も課題だ。
 バイデン氏は3月、気候変動対策やインフラ整備に2・3兆ドル(約250兆円)をつぎ込む方針を発表。「過去数十年で最大」(ホワイトハウス)の巨費投入による技術開発などで壁を越えたい考えだ。

◆中国の排出量ピークはこれから?

 地球温暖化防止には、1国だけで世界の3割近い温室効果ガスを排出する中国の対応が不可欠だ。習近平国家主席も今回のサミットに出席し、気候変動問題に取り組む意思を示した。しかし30年の目標については、従来の考えを繰り返したのみだった。
 実は中国は、排出量のピークを迎えておらず、次の10年で逆に増える可能性も指摘される。30年には「国内総生産(GDP)当たりの排出量」を05年比で65%以上削減するとしているが、GDPが増えれば排出量自体が減らず、30年の明確な数値目標も事実上ないと言える。中国が削減に取り組むように、米国や各国がどう促すかが問われている。

◆グレタさんは批判

 削減の基準年は各国の判断だが、排出量が多い年とするケースが多い。日本は原発事故の影響で火力発電の依存度が高かった13年度比で、2030年度までの削減目標を従来の26%から今回46%に増やした。欧州連合(EU)や英国などが50%を大きく上回る削減目標に引き上げ、米国も政権交代しバイデン政権が50%前後の目標を掲げる方針となったことを受け、上方修正を迫られた形だ。
 急速な動きに「追随」したため、再生可能エネルギーをどこまで増やすか、予算をどの程度投じるかも決まっていない。エネルギー政策に詳しい京都大の安田陽特任教授は「50%に達しない中途半端な数字で産業界などとの妥協の産物ではないか。米国にも遅れる形になった」と指摘する。
 気候変動サミットがあった22日、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが米議会の会議にオンライン出席し「今は2021年。いまだにこんな議論をしているのは恥ずべきことだ」と批判した。

おすすめ情報

気候変動/1.5度の約束の新着

記事一覧