<あぶくま便り>(10)命の芽が吹く里山の春

2021年4月24日 09時22分

米の種まき作業=福島県二本松市で

 阿武隈地方の桜の見頃は例年四月中旬なのですが、今年は月の初めに満開となりました。あまりの気候変動に戸惑いを感じながら、春の農作業が始まりました。
 三日、大手企業に勤める仲間の皆さんがジャガイモの植え付け作業に駆けつけてくれました。「作業は小学校以来です」「土がふかふかしてやさしい」と、百二十キロの種イモを植え付けました。「腰が痛いけど達成感がある」と気持ちのいい汗をかき、「今度は田植えに来ます」。
 阿武隈地方の農家は米とジャガイモづくりが欠かせません。冷害の年でも寒さに強いジャガイモが助けてくれると言われてきたからです。
 七日には米の種まきをしました。約二週間、種もみを水に浸し、十分に水分を含ませてから三〇度のお湯に約十二時間入れ、芽出しをしてから種まきです。苗箱の一穴に三粒ずつ、機械で種をまき土をかけます。家族総出で約千枚にまきます。さらに寒さから守るためビニールハウスに並べるまで二日間かかります。
 約四十日間育苗して五月中旬から田植えです。育苗期間は、急な寒さや暑さに保温したり換気をしたりと気の抜けない管理が続きます。
 桜が散るころ里山の田んぼもトラクターの音が響き、黒い土が顔を出してカエルが跳びはね、にぎやかになります。ばあちゃんはワラビやゼンマイなどの山菜採りに行きます。
 私はこの耕す春が好きです。新しい命の芽が吹く里山の春。躍動する春です。(菅野正寿 農家。福島県二本松市東和地区で農産加工と農家民宿を主宰)

<旬の香り>タラの芽とコゴミの天ぷら

 里山は山菜の季節です。タラの芽、コゴミ、ワラビ、ゼンマイなど苦味のある新芽は春の命をいただくごちそうです。昔から天ぷら=写真(左)=でいただくのが一番。ゆでて水気を切り、えごまあえや、おひたしにしてマヨネーズをかけても苦味と香りを楽しむことができます。

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