気候変動サミット閉幕 温暖化対策への期待高まる、日本の出遅れに危機感 高村ゆかり東大教授に聞いた

2021年4月25日 06時00分
高村ゆかり教授=本人提供

高村ゆかり教授=本人提供

 【ワシントン=吉田通夫】バイデン米大統領が主催したオンライン形式の気候変動サミットは23日、2日間の日程を終えて閉幕した。環境政策の第一人者で政府の審議会委員も多く務めてきた東大の高村ゆかり教授に、今回のサミットの意義や今後の見通し、日本に求められることについて聞いた。
 高村氏は「2030年までの温室効果ガス大幅削減という課題の達成に向け、ぎりぎりのタイミングで米国が(トランプ前大統領の方針を転換して)国際協調の場に戻り、世界を引っ張る意志を示した意味は非常に大きい」と今後に期待する。米国と対立する中ロの首脳が出席したことも「温暖化対策なら対話できるということを示す、外交上も重要なサミットだった」と話した。

◆脱炭素に向けた覇権争い激しく


 協調の一方、「経済の分野では、脱炭素という新たな市場に向けて覇権争いが激しくなっている」。中国は断トツの温室効果ガス排出国だが、風力や太陽光の発電量も世界一で、関連設備を世界に輸出。日米欧にかなわないガソリン車に見切りをつけ、電気自動車(EV)の開発に注力して欧州に輸出も始めている。
 米国は「中国に遅れている」(ブリンケン国務長官)と危機感を強め、バイデン氏は脱炭素時代に向けた産業構造の転換を経済対策の柱に位置付けた。すでにEV大手テスラなど民間レベルでは技術開発が進む。先行する欧州連合(EU)は19年に政策集「欧州グリーンディール」をまとめ、EVの普及や再生可能エネルギーの技術開発など新たな経済モデルづくりを始めている。
 日本政府は出遅れたが、「菅義偉首相が50年の温室効果ガスの排出実質ゼロを打ち出すなど、これ以上世界に遅れたら取り返しがつかなくなるという危機意識は生まれていると思う」と高村氏。首相が30年度目標として掲げた13年度比46%減に一定の評価をしつつ、「『絵に描いた餅』にならぬよう具体的な政策が重要だ」と早急な再生エネ拡大や産業構造の転換に向けた支援を促した。

 たかむら・ゆかり 1964年、島根県生まれ。一橋大院法学研究科博士課程単位修得退学。名古屋大院教授などを経て東大未来ビジョン研究センター教授。専門は国際法、環境法。環境省の「中央環境審議会」会長をはじめ、政府の審議会委員も数多く務める。

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