[花びら] 茨城県取手市 下代慶子(78)

2021年4月25日 07時43分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修


[子どもからの卒業] 名古屋市東区・中学生・14歳 小林千惺(ちさと)

 レストランのバイキングで好きなものばかり食べていると、両親に
 「子どもだねぇ〜」
 と言われ、私はムッとする。
 でも、確かに、その通りだ。
 お皿の上にのっているのは、ハンバーグ、ポテト、唐揚げ。どれも、お子様ランチの王道だ。
 だから、最近は、子どもと言わせまいと、しっかり野菜も食べている。
 しかし、その他にも、部屋の片付けや言葉づかい、行動は、親に言わせると、まだまだらしい。
 子どもと言われなくなるのは、いつだろうか。
 やっと子どもを卒業して大人になった頃には、
 「歳だねぇ〜」
 と、自分の子どもに言われるに違いない。

<評> 大人への階段を一歩一歩踏みしめつつある世代から届いた、ナイーブな作品。若年の作者だけに、全体、子ども向けの甘い味付けかと思いきや、締めくくりは、それなりに大人びた、ほろ苦いフレーズ。

[箱]東京都新宿区・会社員・54歳 谷口治子

 気がつけば息子は14歳になり、めっきり口数が減った。
 「中学生にもなれば、男の子はそんなものよ」と、よく言われる。
 順調に成長しているのだな…と、うれしく思うが、同時に、さみしさも押し寄せる。
 そんなある日、食卓に見慣れぬ箱が置いてあった。
 「何が入ってるの?」
 息子に問いかけると、
 「開けない方がいいよ。白髪が生えておじいさんになっちゃうから」
 との答え。
 とりあえず、おばあさんならともかく、おじいさんにはならないと思う。
 でも白髪が増えたら困るし、箱は開けなかった。
 久しぶりの会話は、日本昔話の世界だった。

<評> こちらの作品にも中学生が登場。本来のテーマは、その年ごろならではの親子関係でしょうが、読者としては、どうしても、卓上の玉手箱が気になります。いったい、何が入っていたんでしょう?

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