<社説>河村名古屋市長 おごらず、地に足つけ

2021年4月26日 07時13分
 名古屋市民は「庶民革命の総仕上げ」を掲げた河村たかし市長の続投を支持した。戦後初めて四期目を担う市長となる。仕上げの任期は、多選によるおごりを戒め、地に足をつけた市政を求めたい。
 投票前の本社世論調査で、河村氏の市民税減税と市長給与八百万円の公約を「評価できる」とした回答はそれぞれ約28%、25%で、「評価できない」を大きく上回った。
 初当選時から掲げてきた庶民目線の政策を武器に、議会や役所などの既得権益打破に切り込む行動力への評価は、いまだに色あせていなかったといえる。
 河村氏は選挙戦で「子どもを一人も死なせないナゴヤ」などを訴えた。すでに中学校で実現した常勤スクールカウンセラーの小学校への拡大など、市民が強い関心をよせる教育、福祉分野の公約は最優先で実現してほしい。
 リニア中央新幹線の開業を見すえ、名古屋駅前と栄地区を結んで面的発展を図るなど、街づくりでも、河村流のアイデアを期待したい。
 コロナ対策で訴えた「一人最大二万円分のポイント還元」の公約は、年間五十億円の財源について「行財政改革でつくる」と説明してきたが、他の行政サービスがしわ寄せを受けないかなど、精査のうえで実行に移してほしい。
 この三期十二年を振り返ると、「待機児童ゼロ」「ワンコインがん検診」などの業績がある半面、蒸気機関車(SL)走行など実を結んでいない新奇な公約も目立った。議会や愛知県知事との対立、元側近やブレーンの離反などゴタゴタが相次いだ印象もある。
 特に、三期目に顕在化したのは力ずくで主張を通そうとする傾向。次点となった元市議、横井利明氏の健闘は、そうした河村氏の姿勢に対する市民の違和感の表れともいえよう。
 人事権はじめ強い権限を持つ首長は一般的に、多選により周囲の意見に耳を貸さなくなり、独善化しやすい。まして、河村氏は大都市名古屋で初の四期目市長を務める。それだけに、独断専行でない丁寧な市政運営を心がけるよう、厳しく注文をつけたい。
 選挙前には、愛知県知事のリコールを求める運動での不正も表面化した。河村氏が現職市長として支援したリコールである。自身が運動にどのように関わり、なぜ不正を見抜けなかったのか。重い説明責任が依然残っていることを忘れてはならない。

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