ナラ枯れ被害、県内で相次ぐ 林野庁が早期発見へ研修会

2021年4月26日 07時15分

林野庁の研修で、コナラに粘着シートを巻くデモンストレーションがあった=かすみがうら市で

 昆虫が媒介する病原菌でナラやシイ、カシなどの樹木が集団枯死する伝染病「ナラ枯れ」が県内で初めて昨年、つくば市で確認されて以降、かすみがうら市や県北で報告が相次いでいる。こうした事態を受け、県内の国有林を管理する林野庁茨城森林管理署が、ナラ枯れをいち早く見つけて対処することを決めた。まず手始めに研修会を開き、職員が早期発見の手順や応急処置を確認した。 (林容史)
 森林総合研究所(つくば市)によると、ナラ枯れは、甲虫類のカシノナガキクイムシ(カシナガ)がカビの一種「ナラ菌」を木にうつすことで起きる。

カシノナガキクイムシの雄(左)と雌(森林総合研究所提供)

 被害は一九八〇年代後半〜九〇年代に日本海側に集中し、二〇〇〇年代に全国に広がった。県内では二〇年八月、つくば市松代の公園でコナラの被害が見つかったのが初めて。十月には、かすみがうら市の低山で市民が気づき、市を通して林野庁に連絡した。このほか北茨城、高萩両市でも被害が報告されている。
 被害を放置すると、枯死による倒木で景観が悪くなったり、土砂崩れが起きたりするほか、温暖化や生物多様性の損失など生態系にも影響するため、早期発見と対処が必要になる。
 対策は、カシナガの新成虫が六〜八月ごろ、木の中から出てくる習性を利用し、新たな樹木に飛び移るところで、樹木に巻いた粘着シート「かしながホイホイ」で捕獲し、個体数を減らすことだ。
 茨城森林管理署の研修は二十日、かすみがうら市の筑波山系にある三ツ石森林公園付近の国有林で開かれた。署の職員ら約四十人が参加し、森林総研の専門家から発見方法や対策の説明を受けた。
 樹木には、カシナガ以外にも他のキクイムシや昆虫が入り込んでいるケースがあるという。このため、森林総研の専門家が、カシナガによる枯死かどうか、つまようじ一本で見分ける方法を伝授した。
 職員たちは森林内で、つまようじでカシナガが開けた穴を探しながら、コナラなどの樹木にかしながホイホイを巻き付ける実技に取り組んだ。
 県内の国有林は、東京ドーム一万個分ほどに当たる約四万五千ヘクタールある。茨城森林管理署の木村穣署長は「ナラ枯れについて、われわれも基本的なことが分かっていない。職員たち自身でナラ枯れかを判断できるようになってくれれば。人が通る遊歩道付近は特に注意したい」と話した。
 森林総研昆虫管理研究室の衣浦晴生室長は「都市部では公園や低山で被害が見られる。今後は市民ボランティアに協力を呼び掛け、ナラ枯れを見つけて初期の段階で対処していく方法について考えたい」と意欲を示した。

◆つまようじを使って見分ける

 森林総合研究所昆虫管理研究室・衣浦晴生室長によると、ナラ枯れはつまようじを使って見分けることができる。まずは枯れた樹木の根付近に木の粉が落ちていないか確かめ、幹につまようじが入るぐらいの穴を見つける。穴が大きすぎず、また小さすぎず、つまようじが、やや斜め方向にぴったり入り、5ミリほどで止まれば8、9割はカシナガが入り込んでいると判断できる。
<カシノナガキクイムシ(カシナガ)> 体長4.5〜5ミリで黒っぽい円柱形の体を持つ。生物学的にはカブトムシに近い。ナラ、シイ、カシ類の樹木に穴を開けて入り込み交尾、産卵する。この際、ナラ菌が樹木に入り、感染した部分の細胞が死に、水分などの通り道となる導管が目詰まりして枯死する。

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