開設4年、800番組超 もっと見てほしい「東京新聞チャンネル」

2021年4月27日 07時04分

YouTuberの398さん(右端)を呼んで東京新聞で開かれた社内研修会

 記事と写真だけで伝えきれない取材相手の表情や声色、現場の臨場感を動画で−。本紙がそんな思いで始めたYouTubeの「東京新聞チャンネル」が開設からまもなく4年になる。もっとチャンネルの魅力を高め、視聴者の満足度を上げたい。現役YouTuberを直撃し、その極意を探った。
 小学生のなりたい職業にYouTuberがランクインする現代。動画は情報発信に欠かせないツールとなった。本紙は二〇一七年五月のチャンネル立ち上げ以降、八百本以上の動画を投稿してきた。ファンの数ともいえる「チャンネル登録者数」は、何とか一万人を超えたところ。
 政治家の本性が垣間見える記者会見のノーカット版から、上野動物園のパンダ「シャンシャン」がむしゃむしゃと笹(ささ)をほおばる様子まで、各部署が制作した硬軟さまざまな動画が並ぶ。紙面に添えられたQRコードが動画への入り口だ。
 最近のヒット作は、JR錦糸町駅前の地下でアリの巣のように広がるハイテク駐輪場に小型カメラが潜入した動画=今月十一日のTOKYO発に掲載。近未来を思わせる映像が話題になり、公開から二週間で再生回数は一万を超えた。
 とはいえ、群雄割拠のYouTubeでヒットを量産するのは至難の業だ。記事はしばしば「炎上」する本紙だが、動画はまだ起爆力がない。どうすれば多くの人に見てもらえるだろう…。社員有志でつくる「次世代研究所(次世研)」はヒットの確率を上げようと、その道のプロに入門することにした。
 応じてくれたのは、ハゼ釣りチャンネル「398(さくぱ)ワールド」を運営する現役YouTuberの398さん。YouTube主催の講習会にも参加している。次世研は二十一日に社内研修会を開き、改善点をレクチャーしてもらった。
 398さんが指摘したのは見てもらう工夫。「YouTubeには一分間に五百時間分の動画が投稿されている。その中から見つけてもらわなければいけない」。コツは「思わずクリックしてしまうように、タイトルやサムネイル(表紙画像)を気を引くものに変えてみること」という。
 デジタル化の激流の中で、立ち止まるわけにはいかない。「これまで新聞社だからこそ蓄積できた膨大な取材メモは今後も大きな力になる」という398さんの助言を胸に、チャンネルの改善計画始動です! ご意見、ご感想、お待ちしています。

◆「正解がない」難しさ 専門コンサル会社も誕生

投稿する際のコツなどを話す398さん

 華やかに見えるYouTuberだが、実態は地味な作業の連続。テレビを主戦場にしてきた芸能人も参入し、視聴者の奪い合いが激化している。
 社内研修会で講師をしてくれた398さんは、もともとはIT関連会社に勤めていた。四年前からYouTubeに投稿を開始。五百本以上の動画を投稿し、チャンネル登録者数は一万五千人を超える。
 動画作りでは、「百均アイテムで釣ってみた」のようにテーマを設ける。釣り番組なので釣れなければ迫力が出ない。我慢の末、狙い通りの映像が撮れても、喜ぶ間もなく編集作業が待ち受ける。動画を見返しながら必要な場面を切り出し、字幕や効果音を差し込む。一通り仕上げたら間違いがないか入念にチェック。十分間の番組でも編集に平均三時間かかる。
 動画を公開した後は視聴者の男女比や年齢層、どの場面で飽きられたかなどを分析。「分かったことが一つある。正解がないことが分かった」と難しさを語る。
 YouTubeに特化したコンサルティング会社も生まれている。一年前に「Pleete(プリート)」を起業した遠藤創平さん(25)は「誰に見てもらいたいのか。何よりも先にターゲットやコンセプトを固めるのが重要」と説く。
 YouTubeは、普通の人が面白い動画を投稿して人気を博した黎明(れいめい)期を経て、企業がお金をかけて商品をPRする場に変わった。企業や芸能人の依頼に応えている遠藤さんは「一般人の参入はどんどん難しくなってきている」と指摘した。
 企画と文・加藤健太、奥野斐、嶋村光希子/写真・木口慎子、川上智世
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