池袋暴走事故 飯塚被告「アクセル踏んでいない」 被告人質問で過失を否定

2021年4月27日 15時17分
飯塚幸三被告

飯塚幸三被告

 東京・池袋で2019年、暴走した車に母子がはねられて死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長飯塚幸三被告(89)の被告人質問が27日、東京地裁であった。飯塚被告は「ブレーキを踏んだら加速した」と述べ、車の不具合が事故原因だと強調。改めて無罪を主張した。(山田雄之)
 飯塚被告は車いすで入廷。証言台の前に進むと、弁護人の質問に答える形で事故状況を説明していった。
 事故があった19年4月19日、飯塚被告は予約したレストランに向かうため、正午すぎに板橋区の自宅を車で出た。出発前にはブレーキが正常に機能しているかチェックし「急がなくても十分に間に合うと思った」と述べた。
 東池袋の交差点を左折する際、「右足で断続的にブレーキを踏んだ」と説明した飯塚被告。しかし速度は十分に落ちず、「思ったより速いスピードで曲がってしまった」と振り返った。
 「パニックになった」のは左折を終えた後。「アクセルを踏んでいないのに、エンジンが高回転し加速した。右足でブレーキを踏んだが、ますます加速した」とし、足元を一瞬見ると「アクセルペダルが床に張り付いて見えた」と述べた。
 飯塚被告はパニック状態のまま、赤信号の交差点に進入。「乳母車を押す婦人が右から左に渡っており、避けようとハンドルを右に切ったが、何か大きなものにぶつかってしまった」と話した。
 実際に、車ではねて死なせてしまったのが、自転車で渡っていた松永真菜まなさん=当時(31)=と長女莉子りこちゃん=同(3つ)=だと知ったのは、その日の夜だったという飯塚被告。「ご冥福を祈る気持ちでいっぱいになった。この事故のことは重く受け止めたい」と結んだ。
 一方、検察側はアクセルとブレーキを踏み間違えたのではないかと追及したが、飯塚被告は「踏み間違えの記憶は一切ない」と否定。「車の運転に問題はないと思っていた。車のない生活は考えなかった」と淡々と話した。

◆遺族「記憶と事実に乖離かいり

 事故で亡くなった松永真菜さんの夫拓也さん(34)は、被害者参加制度を使って公判に参加した。閉廷後、「記憶と事実の乖離があまりにも大きいのではないか。むなしさと悔しさでいっぱいだ」と怒りを押し殺すように話した。
 東京・霞が関の司法記者クラブで会見した拓也さんは「ドライブレコーダーの映像など多くの物証がある。『自分の記憶には間違いがない』となぜ言えるのか、理解ができない」と話し、「冥福を祈るとか言ってほしくない。そんな軽い言葉は、いらないです」と語気を強めた。
 拓也さんは次回6月21日の公判で、飯塚被告に直接質問する。「しっかり準備したい」と話した。
 真菜さんの父上原義教さん(63)も会見に同席。「被告の話は矛盾だらけ。どんな偉い人でも過ちを犯すことはある。心から反省してもらいたい」と声を詰まらせた。(三宅千智)

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