池袋暴走事故遺族 松永さん「事故後、一番絶望した」 被告人質問・記者会見詳報

2021年4月27日 18時49分
 東京・池袋で2019年4月、乗用車が暴走して通行人を次々とはね、松永真菜まなさん=当時(31)=と長女莉子りこちゃん=同(3)=が死亡した事故の刑事裁判で、遺族の拓也さん(34)が27日の公判後に東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、被告に対し「事故後、一番絶望した」といら立ちをあらわにした。
 この日の被告人質問で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長飯塚幸三被告(89)は従来通りの無罪主張を繰り返した。真菜さんの父親の上原義教さん(63)も会見に同席し、「立ち上がってぶ ん殴ってやろうと思うくらい悔しくて悲しかった」と涙を浮かべた。
 拓也さんらは6月の次回公判で、飯塚被告に直接、質問する。

記者会見で険しい表情を見せる遺族の松永拓也さん(中央)と義父の上原義教さん(左)=東京・霞が関の司法記者クラブで

 記者会見の主な発言は次の通り。

◆冒頭発言

松永さん
 会見の前に、4月19日の命日に献花台に来てくださった方々、応援メッセージをくださる方々に心から感謝しております。
 裁判に関して加害者が被告人質問で初めて自分の意思を語る場となりました。ひと言で言えば裁判がおわった後、むなしさと悔しさ。加害者の人間性が良く出ていたのではないかと思います。
 被告人質問は全て記憶に基づいてしゃべっていました。ただ、私はやはりドライブレコ-ダー(ドラレコ)の映像がいわゆる事実だと思います。加害者もドラレコを見たのに、それを見ても自分の考えを変えられない。例えば(事故前に)自転車を見たんだと述べているが、バイクに変遷して、最終的にはドラレコには「自転車もバイクもなかった」。記憶と事実が違うことが一つや二つではない。
 しかし、アクセルペダルが床に張り付いていたとか、足がどこに置いてあったのかとか、自分にとって裁判上大事な部分は間違いがないのだという。そういうところは聞いていて悔しかったし、なぜだろうと。私には理解できません。
 もちろん、そう主張する権利はありますが、そう言い続けるのであれば簡単に冥福を祈るとかいわないでほしい。気軽にそんなことを言わないでください。
 加害者は自分自身がパニックになったんだと言い続けています。パニックになったにしては、視線をアクセルに落として目視したんだと。えらい冷静なんだなと。アクセルペダルを目視したのはたった20メートル、(時速)80キロで走っていたなら1秒もない世界です。その中で「自分が見たんだ」と。そこも考えが変えられない。私には理解できないことが多すぎて。
 次回、私自身が被告人質問をします。きょう、余計にむなしさが増しましたが、「やれることはやった」と言えるように準備していきたいと思います。
上原さん
 (10秒、涙でしゃべられず)ありがとうございます、みなさん。あまりにもショックすぎて自分で整理がつきません。昨日も真菜と莉子とお墓で30分以上お話をしました。きょうの裁判で謝ってくれたらいいねとお話をしていました。今朝もここに来る前にお話をしました。良い報告ができたらいいねと。
 もう今日の話を聞いていると矛盾だらけで、よく平気でそういうことが言えるなと。人間として最低な人ですね。本当に悔しくて悔しくて、いま自分の感情がいつもと違ってふわっとしている状況なんですけども、言葉一つ一つ、きょうは立ち上がってぶん殴ってやろうと言うくらい悔しくて悲しくて、聞いてました。
 こういう人はどんなことがあっても反省はしないんだろうなと。口では(冥福を)祈ってるとか訳のわからないことを言っていたんです。心からそう思うんであればやっぱり謝るのが最初だろうし。自分が過ちを犯したのに何で気づいてくれないんだろうと。そういう思いでいます。
 人はね、過ちは誰でも犯すはずなんですよ、どんなに偉い人だろうと。でも彼は、私は100%だと。車はそうでないんだけど、私は100%の人間なんだと。そう言っている本人が、今日の話を聞いていると矛盾だらけで。言っていることと違ったり。ないものをあると言ったり。でたらめです。まだまだ反省もしていません。
 私の願いは本当に心から反省してもらいたい。本当に心から謝って…。彼がどこに転んでも真菜と莉子は戻ってきません。その悔しさをどこにぶつければいいのかと思う時もありますけど、彼には毎日どんなにして生活しているんだろうと聞いてみたいです。私も家族も毎日苦しくて。その気持ちも察してもくれないし。人間として最低の人なんだろうなと。立派なことをした人かもしれないけれど。そういうこともわからない人なんだなと。
 ショックで仕方がありません。私もどういうことを聞くか、ある程度決めていたんですけども、もう一度ちゃんと考え直さないといけないなと。
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