何でも迷路に 埼玉県の迷路クリエーター・吉川めいろさん 5月6日は「迷路の日」

2021年4月28日 07時08分

葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」=いずれも吉川めいろさん提供

 行ったり来たり、人は迷う生き物だ。迷路はそんな人生の縮図だからこそ、老若男女に親しまれるのかもしれない。埼玉県吉川市には、形あるものを何でも迷路に仕立ててしまう迷路クリエーターがいる。毎日のように新作を生み出しては会員制交流サイト(SNS)で発信し、数々の有名企業ともコラボしている。
 差し出された名刺には、名前を囲むように迷路が張り巡らされていた。「吉川市に住み、迷路を作っているからという安易な理由です」。迷路クリエーターの吉川めいろさん(45)=本名・小沢裕心=がペンネームの由来を教えてくれた。

何でも迷路にしてしまう埼玉県吉川市の吉川めいろさん

 普段は千葉市内で働くサラリーマン。製品の取扱説明書を制作する会社で立体イラストのデザインを担当する。迷路作りに没頭するのは仕事終わりの夜や休日。作ること自体が楽しくて、人に解いてもらうことが喜びという。「基本的に迷路のことばかり考えている」と笑う。
 制作は全てパソコンで行う。全体のイラストを描き、次に線を引いて道を作る。線の間隔は難易度に応じて広げたり狭めたり。スタートとゴールを置いたら正解のルートを決め、最後に行き止まりを設定する。これが一連の工程だ。
 幼い頃、迷路のドリルを解き、方眼紙に迷路を書いてよく遊んだという吉川さん。「サクサクッと解けた時の気持ちよさ」にハマった。その記憶が呼び覚まされたのが約十年前。幼稚園児だった長女を喜ばせようと、車などの迷路を作ってみせた。「娘はすぐ飽きちゃった。そしたら自分の方が楽しくなっちゃって…」

パソコンで迷路作りに没頭する吉川さん

 迷路好きが再燃し、オリジナル作品を発表するサイト「迷路・jp」を二〇一四年に開設。食べ物や建物、動物や花など、あらゆるものを題材にしてツイッターにも投稿した。「空気で迷路を作れと言われたら困るけど、存在するものなら何でも作れます」。これまで手掛けたのは千点以上。その中でも特徴的なのが企業とのコラボ作品だ。
 サイトを始めた当初、世間の反応は薄かった。そこで、ツイッターで偶然知った埼玉県内のハウスメーカーに「迷路で何か作らせて」と打診。快諾の返事をもらい、この会社のロゴマークを迷路にした。
 ここから次第に評判が広がり、連携した企業はキヤノンやコクヨ、アサヒ飲料など百社を超える。新聞広告や商品のキャンペーン、来店客へのプレゼントなど、さまざまな依頼に合わせて迷路を作ってきた。動物の迷路を集めた「めいろどうぶつえん」(飛鳥新社)も一八年に出版した。
 吉川さんには今、夢がある。海外向けのサイトを立ち上げ、世界中の子どもたちに作品に触れてもらうことだ。昨年には「めいろどうぶつえん」の韓国語版も現地で発売された。さらに、世代も超えていきたいと意気込む。「僕の迷路で遊んだ子どもが親になった時、またその子どもへと伝わっていけば」
 そんな野望を抱く迷路クリエーターにとって、特別な日がある。五月六日の「迷路の日」。五月のMay(メイ)と六日のロクの語呂合わせにちなみ、この日は毎年ユニークな作品を発表してきた。「今年は何を作ろうか、まだ迷っています」。当日のお楽しみと言わんばかりに、ほほ笑んだ。
 文と写真・近藤統義
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銚子電気鉄道の車両の迷路。鉄道会社とのコラボも多い

カセットテープで知られるマクセルともコラボした

「めいろどうぶつえん」からジャイアントパンダの迷路

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