<社説>地球温暖化 原発依存は解にならぬ

2021年4月28日 07時53分
 米国主催の気候変動サミット。日本は「二〇三〇年度の温室効果ガス排出量を一三年度比で46%減らす」と公約した。問題は、その道筋だ。地球温暖化対策を、原発復権の口実にしてはならない。
 温暖化対策の国際ルールであるパリ協定は、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前と比較して一・五度に抑えることをめざしている。参加各国は温室効果ガスの削減目標を、それぞれ国連に提出し、五年ごとに引き上げながら達成に向かう仕組みである。
 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、「一・五度目標」を達成し、地球温暖化による壊滅的な被害を回避するには、温室効果ガスの排出量を二〇五〇年までに「実質ゼロ」にしなければならず、そのためには三〇年の段階で、一〇年比45%の削減が必要になるという。
 パリ協定を離脱したトランプ前政権から一転、今回のサミットを呼び掛けたバイデン大統領は、「三〇年までに〇五年比で半減」を約束し、引き続き議論をリードしていく意欲を見せた。
 最大排出国の中国は、削減目標は据え置きとしながらも、温暖化対策では米国と協調して取り組む姿勢を印象づけた。
 世界が競い合うことにより、温暖化対策は加速する。環境や企業の社会的責任などを重視する「ESG投資」が、再生可能エネルギー関連の「グリーン市場」に流れ込み、社会構造や生活様式の変革に拍車がかかる。コロナ後の世界を変える力になるだろう。
 菅義偉首相が「46%の削減」を表明し、現行の26%減から大幅に引き上げたことは評価できるが、その道筋を誤ってはならない。
 目標達成には原発の活用が不可欠と、与党や経済界の一部から、建て替えや新増設を求める声も高まった。だが、風力や太陽光の急速な普及により、価格競争力を失いつつある原発は、もはや時代遅れの電源だ。
 国際エネルギー機関(IEA)などのデータに基づく自然エネルギー財団の予測によると、二十年後に世界の発電電力量に占める原発の割合は一割足らず。「脱炭素」の未来とは、原発のない未来でもあろう。
 「目標達成の鍵は再エネ」と、小泉進次郎環境相は言う。まずは再エネの普及と効率化に、焦点を絞ることからだ。もういいかげん、原発や石炭火力へのこだわりを捨てないと、「グリーン市場」もますます遠ざかる。

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