高齢の飼い主が急死…ネコ21匹が取り残され、24日後にようやく保護も2匹死亡 都が遺族の意向確認に手間取り

2021年4月29日 07時13分

保護されたネコの1匹=立川地域猫の会提供

 武蔵村山市の独り暮らしの高齢女性が三月、自宅で急死した後、飼いネコ二十一匹が無人の屋内に取り残され、二十四日後に保護された時には二匹が死に、残る十九匹もやせ細っていた。保護が遅れたのは、ネコの所有権を相続した遺族の意向を都が確認するのに手間取ったからだ。動物愛護団体は多頭飼育崩壊に警鐘を鳴らすとともに、緊急的な一時保護の制度化を求める。 (林朋実)
 東大和署などによると、女性の死亡が分かったのは三月十六日。事件性の確認のために署員が建物に入った際、ふん尿が散らばった不衛生な室内に多数のネコがいて、死骸も複数あった。
 署から連絡を受けた市環境課は、放置すればネコが衰弱する恐れが高いため、都動物愛護相談センター多摩支所に「緊急で保護できないか」と相談した。センターは「ネコの所有権は相続人にあり、行政に連れ出す権限はない。相続人の依頼があれば引き取れる」と断った。
 市の担当者は女性の死亡が確認された翌日に相続人と会い、センターによる引き取りを希望するとの意向を確認した。だが、センターは相続人の連絡先を市や警察に問い合わせず、相続人からの連絡を待った。センターの担当者は「電話番号は個人情報だから」と説明した。ネコの放置は長期化し、保護活動をしている地元ボランティア団体などが都や市に抗議した。
 センター職員らが相続人の同意を得て屋内に立ち入ったのは、四月九日深夜。相続人が与えたとみられるエサや水が大量に置いてあったが、新たに二匹の死骸を確認し、十八匹を保護団体に引き渡した。同月十六日には室内に隠れていた一匹を追加で保護した。治療した獣医師は「普通のネコは体重三〜四キロだが、ほとんどが二キロ台で一部は衰弱していた」と語った。
 公益財団法人「動物環境・福祉協会Eva」(渋谷区)理事長の俳優、杉本彩さん(52)は「行政や警察がここまで放置するのはおかしい。命をどう考えているのか」と憤る。事務局長の松井久美子さん(51)は「センターがネコをいったん保護した上で、遺族の意向を聞くべきだった。所有権が壁になるなら、緊急的に一時保護できる制度が必要ではないか」と訴える。
 環境省動物愛護管理室の担当者は緊急的な一時保護の制度化について「論点の一つだが、所有権を含む財産権は憲法で保障されている。所有権の一時停止には課題もある」と話した。

武蔵村山市の民家に取り残されていたネコ =4月8日撮影、動物環境・福祉協会Eva提供

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