<どうする相続>きょうだい間、絶えぬ争い 礼儀と感謝で歩み寄り

2021年4月29日 07時23分
 遺産相続を巡って親族がもめる「争族」。当事者の多くは兄弟姉妹だ。本欄にも、同様の争族の悩みが読者から寄せられ続けている。相続に関する相談業務を行っている「夢相続」(東京)社長の曽根恵子さん(65)=写真=に、きょうだい間に生じがちな不和の原因と対策を聞いた。 (砂本紅年)
 「母の遺言に『全財産を弟に譲る』とあったが納得いかない」「疎遠な姉と相続でもめそう」「遺産を巡り兄と絶縁になり、法事に呼んでもらえない」−。投稿からは、多くの人がきょうだいへのわだかまりや不安を抱えていることがうかがえる。
 争族の原因は何か。曽根さんはまず、弟や妹に対する長子の「上から目線」の言動を挙げる。「平等相続の時代になっても、下(=弟・妹)は自分の言うことを聞くと思っている人が多い」。「俺は六百万円、おまえは四百万円」と一方的に妹に言い放つ兄などは典型例だ。「兄や姉ばかり親から大事にされる」と、心の古傷の痛みが再発する人もいるかもしれない。
 「普段からきょうだいでお金のことを話さないため、自分だけが損していると疑心暗鬼になる人も」と曽根さん。留学や私立進学など、親が支払った学費の違いも火種になり得る。きょうだいが親から贈与を受けたふしがあるのに、知らされていない場合もモヤモヤや不公平感が募る。
 だからといって勢いで「あなたは昔からそういう人だった」「そんなに強欲だと思わなかった」などと相手を責めるのはNGだ。「聞き流せない」「許さない」と売り言葉に買い言葉の応酬になりやすい。思ったことをそのまま口に出すのは家族間でも慎みたい。
 両親が亡くなると、対立するきょうだいに歩み寄りを促す調整役がいなくなる。「特に二人きょうだいは大変。第三者が別々に気持ちを聞き、傷つけない言い方で双方に伝え、結論を導き出すことが有効」。初めから弁護士など代理人を立てると、互いに譲らず関係修復が難しくなりがちだ。まずは信頼できる親戚などに仲介を頼むのがいい。
 親の介護をし、財産管理もしているきょうだいから「財産を教えてもらえない」と悩む人も少なくない。曽根さんのもとには「頼んでも通帳を見せてもらえない」「介護費用で全部なくなったというが納得がいかない」といった不満の声も寄せられている。
 曽根さんは「親がしっかり遺言などの生前準備をしていれば、きょうだいが張り合うことが減り、争族を防げる」と指摘。親は七十代になったら、財産のリストや分け方を相続人である子どもたちにオープンにするよう提案する。親が公正証書遺言の作成などの終活を、子どもたちと一緒に進めれば摩擦も少なく済むだろう。
 「財産を教えたくない」という親に、やきもきすることもあるかもしれないが、「主役は親であることを忘れずに」と曽根さん。「介護などのサポートに必要な資金として知っておきたい」といった働きかけが大事という。「最後まで自宅に住みたいか」「誰の世話になりたいか」など本人の意向も確認しておきたい。
 曽根さんは「きょうだい間に『ありがとう』が抜けている」と残念がる。「親はもちろん、親の世話をしたきょうだいがいたら『感謝している』などと、いたわりやねぎらいの言葉をかけると、わだかまりが氷解することもある」

◇困り事や体験談募集

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