「就任100日で米国は再び動き出した」 初の女性両院議長見守る中、バイデン米大統領が施政方針演説

2021年4月29日 21時48分

28日、米議会で施政方針演説を行うバイデン大統領(中央)。後方は上院議長を兼ねるハリス副大統領(左)とペロシ下院議長=ワシントン・ポスト紙提供、AP・共同

 【ワシントン=吉田通夫】バイデン米大統領は28日夜、議会の上下両院合同会議で就任後初の施政方針演説に臨み、政権運営の方針を示した。新型コロナウイルスワクチンの普及など成果を強調し、「就任100日で米国は再び動きだした」と宣言した。「21世紀を勝ち抜くため、中国や他の国々と競争している」と述べ、大型の成長戦略への超党派の協力を求めた。

◆ワクチン2億回接種前倒し、コロナ対策の実績強調

 コロナウイルス対策では、ワクチン2億回接種の目標を前倒しで達成した実績を強調。3月上旬に成立させた総額1兆9000億ドル(約200兆円)の緊急コロナ対策についても「最初の100日でどの大統領よりも多い雇用を生み出した」とアピールした。
 競争相手と位置付ける中国について「習近平しゅうきんぺい国家主席に対し紛争を始めるのではなく防ぐために、インド太平洋で強力な軍事プレゼンスを維持すると伝えた」と明かし、対立するロシアについて「プーチン大統領に緊張悪化は望まないが、行動には結果を伴うと明確に伝えた」と述べ、権威主義を強める中ロ両国を抑制する方針を明確に示した。

◆空前の経済対策で「大きな政府」へ

 就任から100日で打ち出した経済対策の総額は空前の6兆ドル規模に迫り、政府が経済に介入する「大きな政府」への路線変更が明確となった。財源は企業や富裕層への課税強化で賄うため共和党は反発するが、「企業は経営者をもうけさせ、経営者と労働者の格差は史上最大だ」と正当性を訴えた。
 1月6日の議会襲撃事件にも触れ「世界の独裁者たちは、米国の民主主義の太陽が沈んでいる証拠だと見ている」と指摘。「最も致命的なテロの脅威は白人至上主義だ」とも述べ、民主主義の機能回復や人種差別の撤廃の必要性を強調した。「銃による暴力がまん延している」として銃規制の強化も呼び掛けた。

28日、米ワシントンで、施政方針演説を終えたバイデン大統領(右下)と拳を突き合わせるハリス副大統領。左から2人目は拍手を送るペロシ下院議長=AP・共同

◆「ありがとうマダム・スピーカー、マダム・バイスプレジテント」

 バイデン米大統領の28日の議会演説は、新型コロナウイルスへの感染防止で出席者が大幅に制限される異例の状況下で行われた。バイデン氏は女性の両院議長が見守る中で、性的少数者(LGBTQ)を応援し移民の重要性を説くなど、トランプ前大統領とは対照的に、多様性を重視する姿勢を鮮明にした。
 「ありがとうマダム・スピーカー(議長)、マダム・バイスプレジデント(副大統領)」。バイデン氏の演説は、背後に控えたペロシ下院議長と上院議長を兼ねるハリス副大統領へのあいさつで始まった。「演壇からこの言葉を発した大統領はかつていなかった」と歴史的な場面を喜んだ。

◆人種差別撤廃、LGBTQ保護にも言及

 ハリス氏は有色人種として初めての副大統領でもある。人種差別の撤廃を目指すバイデン氏は、黒人男性ジョージ・フロイドさんが元警察官の白人に暴行され死亡したとされる事件にも言及。「刑事司法制度における人種差別を根絶する」と誓い、最近のアジア人差別に対して上院が対策法を可決したことに感謝した。
 また、多様性を重視するバイデン氏らしく「LGBTQを保護するための法律を、議会が(可決して)私のデスクに届けてくれることを願っている」として「大統領がトランスジェンダーの皆さんの背中を押していることを知ってほしい」と呼び掛けた。
 批判を集める移民政策については「移民は米国にとって常に不可欠な存在だ」と指摘。「大統領就任初日に包括的な移民法案を議会に提出しており、安全な国境や移民の市民権獲得を実現すべきだと思うなら可決してほしい」と求めた。

◆閑散、厳戒…異例の演説風景

 出席者からは演説の節目ごとに拍手が起こったが、例年よりは静か。通例は議員や来賓ら1000人以上が詰め掛ける下院本会議場は、コロナ対策のため今年は200人程度に制限。「密」を避けるため出席者の間に空席が設けられ、閑散とした中での演説となった。
 逆に、警備体制は大幅に強化。昨年のトランプ氏の一般教書演説で100人程度だった軍の警備部隊は、1月の議会襲撃事件を受けて今回は2600人超が投入された。

PR情報

ウオッチ・バイデン政権の新着

記事一覧