現代美術のオーラであなたの心に虹を 「原美術館ARC」 群馬・渋川に新生オープン

2021年4月30日 07時04分

磯崎新さんが設計した原美術館ARCの建物=いずれも群馬県渋川市で

 現代美術や東洋古美術などを集めた美術館「原美術館ARC(アーク)」が24日、群馬県渋川市金井に改装開館した。1988年に同市に開館した「ハラ ミュージアム アーク」と、老朽化のために1月に閉館した東京・品川の「原美術館」が統合し、改称して新スタートを切った。緑豊かな自然に抱かれた環境の中、国内外の芸術家たちの作品が新たな魅力を放っている。

椅子を組み合わせたジム・ランビーさん「トレイン イン ヴェイン」(手前)

 ARCは榛名山麓にあり、伊香保温泉街に近く、周辺には観光施設が集まる。ARCのピラミッド形やかまぼこ形をした屋根の木造建物は、世界的建築家の磯崎新(あらた)さんが手掛けた。
 改装後初の企画展「虹をかける」に並ぶのは六十点。現代日本を代表する芸術家、奈良美智(よしとも)さんの「My Drawing Room」、宮島達男さんの「時の連鎖」など、いずれも品川で親しまれてきた常設展示作品を早速公開している。他の品川の所蔵品も将来的に展示する方針。

アルマンさんの「なまゴミ」(手前)と狩野探幽「龍虎図」(奥)がコラボ

 企画展では、以前から渋川にあった草間弥生さんの代表作の一つ「ミラールーム(かぼちゃ)」や、色とりどりの木製椅子を組み合わせたジム・ランビーさんの「トレイン イン ヴェイン」なども紹介。特別展示室の観海庵(かんかいあん)では、江戸前期の狩野探幽(かのうたんゆう)の「龍虎図」と、フランスの現代美術家アルマンさんの「なまゴミ」が同時に並び、独特の調和を見せる。

「日本列島のベンチ」に座る鈴木康広さん

 屋外の中庭には、鈴木康広さんの「日本列島のベンチ」を新設。縮尺三十万分の一で、北海道から九州まで長さ六・三メートルあり、来館者は思い思いに座れる。床面にはARC敷地内にあったモミの木の切り株の年輪を黒地に白で描いた。「人が自然と集まるベンチ。知らない人同士でも、住んでいる場所を話題に会話が始まるはず」。鈴木さんは制作意図を説明する。
 収蔵する現代美術作品は五〇年代から現在までの約千点。運営するアルカンシエール美術財団(東京)の原俊夫理事長が、現代美術が評価される前から長年収集した。七九年に旧原美術館を開き、作家を支援しながら現代美術の普及に取り組んできた。現在は展示していないが、国宝は中国・南宋時代(十三世紀)の「青磁下蕪花瓶(しもかぶらかへい)」、国重要文化財は江戸時代の「縄暖簾図屏風(なわのれんずびょうぶ)」もある。
 青野和子館長は「品川で約四十年にわたって築いてきた作家と館との信頼関係は、ARCでも変わらない強み」。新型コロナウイルスの状況を見極めながら、「美術は人が生きていくためには必要なもの。オリジナル作品からのオーラを体験してほしい」と来館を呼び掛けている。

◆企画展1期9月5日まで

 企画展「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」は第1期(春夏季)が9月5日まで。第2期(秋冬季)は9月11日〜来年1月10日。木曜(祝日と8月を除く)、元日、展示替え期間は休館する。入館料は一般1100円、大学・高校生700円、中学・小学生500円。問い合わせは同館=電0279(24)6585。
 文と写真・池田知之
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