電気自動車大手の米テスラに中国で逆風 展示会で「ブレーキ利かない」と乱入騒動

2021年4月30日 20時50分
 【上海=白山泉】中国への投資を拡大し、電気自動車(EV)市場をけん引してきた米EV大手のテスラが、品質問題への対応を巡り中国メディアや世論の批判を浴びている。同社は米中対立の渦中にも上海に新工場を立ち上げ、中国の市場開放のアピールにも貢献していた。長引く政治的対立で中国の若者の間では「国産ブーム」志向も強まっており、外資企業へ思わぬ逆風が吹きつけた形だ。

◆Tシャツ姿の女性、突然の抗議

4月19日、上海モーターショーで、米テスラの展示ブースで車の屋根に乗って抗議する女性=微博より

 4月19日に始まった上海モーターショーのテスラの展示ブースは、多くの警備員に囲まれていた。開幕直後、テスラ車のオーナーの女性が「ブレーキが利かない」と書かれたTシャツ姿で展示車の屋根に乗り、大声を上げて品質問題を批判したためだ。女性はテスラのEVセダン「モデル3」のブレーキの欠陥から事故が発生したと主張し、両親が入院することになったと抗議した。
 女性は直ちに取り押さえられたが、その夜、中国の国営メディアはこれに呼応するかのように過去に発生したテスラ車の事故の映像を報道。テスラは謝罪声明を出したものの、ネット通販で女性が着ていたTシャツや関連グッズが売り出されるなど、テスラ批判の世論が盛り上がった。

◆EVブーム招くも、競合も激化

 テスラは2019年に上海に米国外で初となる完成車工場を操業。20年には同工場で生産する「モデル3」が中国新エネ車のブランド別でトップの販売台数となるなど、中国のEVブームにきっかけを与えた。
 一方、中国政府の環境負荷低減の掛け声とともに中国メーカーの市場参入も加速し、新興の上海蔚来汽車(NIO)は、上海市中心部ではテスラの隣に販売店を出すなど対抗姿勢を打ち出している。

4月19日、上海モーターショーの会場で、テスラ車オーナーの女性が抗議した後、大勢の警備員が歩き回る米テスラの展示ブース=白山泉撮影

 中国メディアによると、テスラのブースで抗議した女性はNIOのサプライヤーの企業名の通行証を持っていたことから、ネット上では「競合するNIOの仕業ではないか」と疑う声も流れた。これに対してNIO側が否定する声明を出し、ネット上に広がる陰謀論の火消しを急いだ。

関連キーワード

PR情報

主要ニュースの新着

記事一覧