観光地もレストランもジムもダメ…東京五輪の選手に禁止だらけ 「おもてなし」はどこへ

2021年5月1日 06時00分

<連載「五輪リスク」コロナ拡大>

 今夏の東京五輪に、どのくらいの国・地域が参加するのだろうか。本紙は4月下旬、5大陸から約20カ国・地域を選び、各地のオリンピック委員会の意向を取材した。
 「チーム・グレートブリテンは、東京五輪に向けて十分な準備を続けています」(英国)
 「参加の準備をしています。専門家で構成する医療委員会が日々話し合い、東京での行動手順を策定するよう指揮しています」(ブラジル)
 「五輪の価値や友情を促進しながら、選手団を結成するための準備に集中しています」(台湾)
 回答した国・地域は全て参加に前向きだった。

◆五輪委は前向きなのに、飛び込み予選は派遣中止

 「460~480人の選手のチームを派遣します」と答えたオーストラリア。ところが、5月上旬に東京で開かれる飛び込みの五輪最終予選に選手団を派遣しないことが、この回答と同時期に明らかになった。
 飛び込みの豪州連盟が出したコメントは率直だった。「東京に緊急事態宣言が発令される。選手の派遣が安全でないことが明確になった」。選手へのワクチン接種が間に合わないことも理由に挙げた。

◆テスト大会、相次ぎ延期

 新型コロナウイルスの感染拡大が第4波に入る中、4月に東京で予定された水球、自転車などのテスト大会も相次いで延期された。五輪参加に前向きな各国のメッセージとは裏腹に、「開催できるのか」という不安が世界を覆っている。

◆厳しい外出規制に不満の声

7月23日に東京五輪の開会式が予定されている国立競技場=4月30日、東京都新宿区で、本社ヘリ「おおづる」から

 五輪本番では、選手や競技団体関係者、メディアらに「バブル方式」と呼ばれる感染防止対策が取られる。選手らをバブル(泡)で包み込むように、外部との接触を遮断する方法だ。
 近く国内で開かれるある競技のテスト大会。オンラインで行われた打ち合わせで、海外の競技関係者から不満の声が上がった。
 「2週間もホテルに缶詰めなんて耐えられない。散歩やジョギングもできないなんて。今から絶望的な気分だ」

◆プレーブックに並ぶ禁止事項

 大会では入国後14日間の自主待機が免除される代わりに、選手は原則毎日、関係者は数日おきに抗原検査などが義務付けられ、移動先も競技会場や練習場に限られる。規則を定めた「プレーブック」には「観客席には行けません」「公共交通機関を使ってはいけません」「観光地、レストラン、バー、ジムに行ってはいけません」と、あらゆる禁止事項が並んだ。違反した場合は、資格が剝奪される可能性もある。
 東京開催が決まった2013年の国際オリンピック委員会(IOC)総会。キャスターの滝川クリステルさんが「おもてなし」と訴え、好感を持って受け止められた。しかし今、海外からの選手、関係者を手厚くもてなそうという機運は感じられない。

◆「まるで敵意じゃないか」

 ある国際競技団体の幹部は組織委の担当者に、日本の厳しい行動制限をこう皮肉ったという。
 「ホスピタリティー(おもてなし)はどこへ行ったんだ?まるでホスティリティー(敵意)じゃないか」

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