ウミガメ産卵 安心の浜に 御前崎・下岬海岸 市民有志がごみ清掃

2021年5月1日 07時55分

海岸で見つけたウミガメの甲羅を埋める伊村俐香さん(右)ら=1月27日、御前崎市の下岬海岸で(河野貴子撮影)

 ウミガメの産卵期を前に、主要産卵地として知られる御前崎市の下岬(したみさき)海岸(国の天然記念物)が、大量のごみや流木が漂着する事態になっている。産卵で砂浜に向かう絶滅危惧種アカウミガメの行く手をごみが阻みかねない上、観光資源である海辺の景観を損なっている。こうした現状に、有志のグループ「心がすっきり夢拾い」が定期的なごみ拾いに力を入れている。 (河野貴子)
 下岬海岸は御前崎の半島先端付近に位置し、遠州灘と駿河湾両方からごみや流木が漂着しやすい。台風や大雨でごみが打ち上げられ、市もごみの撤去を続けるが追いついていない。ペットボトルなどプラスチック製品や生活用品、漁具などが漂着し、劣化して砕けたマイクロプラスチックが散らばる。
 「夢拾い」と呼ぶ清掃活動は、御前崎市御前崎のパート伊村俐香さん(55)がリーダーになり、二〇二〇年二月から隔月で続ける。
 「下岬のごみや流木があまりにもひどい。カメが安心して産卵できる場所に戻したかった」と伊村さん。御前崎で暮らし始めた二十年前とは海岸の風景が一変。「何が何でもごみ拾いをしたくなった。観光地でもあるし、誇りを持って住みたい。諦めない」と語る。
 「夢拾い」はもともと、県内の男性が二年半前に始めた。各地に伊村さんのようなリーダーが生まれ、現在は県内外十一カ所に活動が広がっている。
 直近の下岬海岸の掃除は三月半ば、他団体と合同し、五十人で実施した。活動の積み重ねで、最近は流木以外のごみが減ってきたという。
 御前崎市社会教育課の担当者は「ごみが原因でカメが海に引き返すといった影響は不明だが、上陸場所を優先的に清掃している」と話す。市建設課によると、二〇年度は海岸三カ所の流木を中心に十トンダンプ換算で五十台分余り処理した。ただ塩分と砂を含む海洋ごみの焼却は炉がさびて傷むため、処分は簡単ではない。担当者は「対応に苦慮している」と明かす。
 次回の活動は、九日午前八時半から。マリンパーク御前崎駐車場の西端に集合する。問い合わせは伊村さん=電090(7614)3165=へ。
<御前崎市のウミガメ> アカウミガメ産卵地の市内2カ所の海岸と「ウミガメ」は1980年、国天然記念物に指定された。2020年は、下岬海岸がある御前崎地区で42頭が上陸し、うち21頭が計2500個弱の卵を産んだ。変動幅が大きいものの、過去40年で上陸は最少、産卵は3番目に少なかった。砂浜が痩せ、海岸面積はこの10年で10分の1に減ったという。

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