高級食材でステイホーム 牛肉好調、コメは苦境…巣ごもり需要で国産農産物に明暗

2021年5月2日 06時00分
 新型コロナウイルスの影響で全体としての売り上げが落ち込んでいる国産の農産物の中で、明暗が顕著になってきている。緊急事態宣言の発令と解除が繰り返され、牛肉などの高級食材やフルーツは外食離れや外出自粛の長期化に伴う「巣ごもり」需要で復調の兆しが見える。半面、主食のコメや暮らしを彩る花は依然厳しいままで、生産者は売り上げ減少と価格低下のダブルパンチで苦境に立たされている。 (山口哲人)

◆外食減少の分を埋める

 総務省の家計調査によると、国産牛肉はコロナ禍にもかかわらず、2020年度の需要が前年度を大きく上回る。昨年4月から今年2月までで金額ベースは約13%増(前年同期比)、消費量は約12%増(同)と好調。外食離れやインバウンド(訪日外国人観光客)の減少で生じた穴を、巣ごもり需要が埋める。
 巣ごもり需要が高まっているのは高級食材に限らない。牛肉よりも安価な豚・鶏肉や、調理の手間がかからないパスタ、即席麺の消費も増えている。
 「二極化」の傾向について、ニッセイ基礎研究所の久我尚子主任研究員は「外食を控え、家で食事する機会が増えたことから、家の食事の質を上げたい需要と食費を抑えたい需要の両面が出ている」と分析する。

◆主食にはさらなる追い打ち

 一方、深刻な影響を受けているのがコメだ。もともと少子高齢化などで消費量が減り続ける中、コロナ禍が直撃。外食需要の激減で在庫が積み上がり、農林水産省は今年の新米が出回る前の6月末時点で最大212万トンに上ると見込む。
 コメ余りの結果、2月の平均小売価格は前年同月比3%安の5キログラム2004円と下落が続く。消費者には恩恵だが、農家には苦しい状況だ。
 花き類も、密の回避を求められて規模縮小や延期・中止などが続く冠婚葬祭向けを中心に厳しい。作付面積や出荷量が全国1位の愛知県で輪菊を生産する藤井保宏さん(47)=田原市=は「主産地の責任として、生活を明るくする花を作り続ける」と声を振り絞るが、今もコロナ禍前の売り上げは戻っていないという。

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