読んで!聴いて!! 競演「紙上テツ旅」へ エアトレイン、発車しま〜す

2021年5月2日 07時52分

「本家」野月貴弘

 二年続けて遠出が難しい大型連休になってしまいました。ならば、紙上で鉄道旅の気分を味わっていただきましょう。鉄道にまつわる音を口まねする「エアトレイン」の猛者二人が、列車の走行音や車内アナウンスなど、よりすぐりの実況技で、仮想テツ旅に導きます。時刻表片手に想像を膨らませるのもよし、スマホやパソコンから二人の迫真の実演に聞き入るのもよし。間もなく発車しま〜す! (藤浪繁雄、甲斐毅)

佐藤チャンピオン

 案内するのは、エアトレインの“本家”こと、鉄道音楽ユニット「スーパーベルズ」を率いる野月貴弘(48)と、一級建築士として会社勤務の傍ら、各地のエアトレイン大会を軒並み制した佐藤チャンピオン(33)。二人は、運転士兼車掌兼駅員兼車両兼モーター…と一人で何役もこなし、新幹線や通勤電車、機関車を口だけで表現してしまう筋金入りの「テツ人」だ。

◆旅はここから

のぞみ

 「今日も新幹線をご利用いただき、ありがとうございます−」
 例年、行楽ラッシュを伝えるテレビのニュースで、必ず出てくるのが東京駅のホーム。東海道新幹線「のぞみ」の発車場面こそ、多くの人がイメージする旅の始まりだろう。
 紙上旅も、女性のアナウンスなども交えて完全コピーした、佐藤の「のぞみ」の車内音からスタート。右側の窓に東京タワーが見えてきそうだ。

◆「レトロ」競演

185系

 次は、JRグループの今春のダイヤ改正で、引退となった「185系」と東日本から撤退した「キハ40」。ともに国鉄時代から活躍してきただけに、マニアならずとも感傷に浸る人が多いのではないか。
 185系は東京と伊豆を往来した特急「踊り子」などで親しまれた。最近の車両にはない「ブーン、ウィーン」とごう音を響かせて走る重厚なモーター音が特徴で、「遠くにいても聞こえてくる」と野月。

キハ40

 ディーゼルカーのキハ40は一九七〇年代以降、全国の非電化ローカル線で走った。「重い割に非力。なかなか加速しない」(野月)ようだが、通勤通学で多くの人が利用した。現在はリゾート列車や西日本の中国地方などに残るという。

◆ディーゼル有情

DD51

 旅客列車の時刻表には掲載されないが、最近、鉄道好きの間で人気上昇中というのが貨物列車。野月はその中で、三月に退いたディーゼル機関車「DD51」に注目する。
 「ウィーウィー、ゴーン、ダッダッダッ…」。ディーゼル特有の音で貨車と連結する場面に思いを注ぐ。貨車一両ごとの重量の違いによって通過の音が微妙に変化する光景は、かつて各地で見られた。

◆「テッパン」路線

東京メトロ銀座線の渋谷駅

 エアトレイン芸で、いかなる時も決して外すことのないテッパン路線が二人にはある。
 佐藤は、東京メトロ銀座線の、昨年リニューアルオープンした渋谷駅から次の表参道駅までだ。「ドアが閉まります。手荷物をお引きください−」の自動アナウンス、ピンポーンという機械音から、ドアやモーターの音まで完全再現する。

札幌市営地下鉄6000系

 北海道出身の野月は地元、札幌市営地下鉄。ゴムタイヤで知られた有名な車両で、二〇〇八年に引退した「6000形」。「チュンチュン、ホォーン」の音に望郷の念が交差する。おまけの“一瞬ネタ”のレトロな国鉄型車両の「ファ〜ン」と「ピー」が重なるように鳴る警笛も披露すると、終着が見えてきた。

◇時にはイヤホン外して

 コロナ禍は、猛者たちにも大きな影響を及ぼしている。野月はライブや鉄道系イベントが激減、佐藤も至芸を披露してきたエアトレイン大会がなくなるなどした。それでも2人は「通勤や通学で利用する列車でも、季節感やわびさびを味わえる」と前を向く。
 「換気のため窓を開けているので、風や虫の鳴き声などが普段よりも聞こえてくる。時にはイヤホンを外して、車内と窓の外の音も楽しんで」と野月。佐藤は「駅や車内アナウンスも日々変わっている。JAL機が(ジェンダーに配慮して)『レディース&ジェントルマン』と言わなくなったように、時代を感じることもある」と語る。
 2年連続のステイホームの大型連休。「収束したら、思いっきり旅に出る」と2人は我慢のトンネルを抜けたその時を見据え、構想を練っている。「鉄道を好きになれば、自然とまねしてしまう。皆さんもぜひ」と奥深いエアトレイン道に誘(いざな)った。

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