憲法24条の精神どこに? ジェンダー平等視点でコロナ対策チェック 呼び掛け人「性差別、悪化させかねない」と指摘

2021年5月3日 06時00分
 憲法記念日の3日、新型コロナウイルス感染拡大が続く中で日本国憲法は施行から丸74年が過ぎた。昨年5月、ジェンダー平等の視点からコロナ禍での対策強化を政府に求めた有識者らが、1年後の政策反映度を確認した。9項目の要請のうち、対策の再検証など7項目は、実現せず、改善が必要、といった低い評価だった。関係者は、家族生活における個人の尊厳や両性の平等を定めた憲法24条の精神が生かされていないと問題視する。(川田篤志)

 ◇憲法24条
 ① 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
 ② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

◆学者、弁護士が呼び掛け 安倍前首相らに修正求める

 要請は学者や弁護士ら計16人が呼び掛け人を務めた。政府の対策がジェンダー平等への配慮に欠け性差別や男女間の経済格差を悪化させかねないと指摘。当時の安倍晋三首相と関係閣僚に「全ての対策をジェンダー平等の視点で再検証する」「特別定額給付金の支給単位を世帯から個人に切り替える」など9項目で「速やかな修正」を求めた。

◆1年後の反映度 C、D評価は7項目、A評価はゼロ 

 1年後の反映度は項目別に「実現(A)」から「ほとんど実現せず(D)」の4段階で評価した。
 「実現したこともあるが改善が必要(C)」との分析が最多の4項目。ジェンダー視点の再検証は、内閣府有識者研究会の調査で、子を持つ母親の家事・育児負担が増え、就業率が低下した実態などを明らかにしたことを前進とする一方、支援策が対象者に届いているか確認が必要とした。
 最も厳しいD評価は3項目。一律10万円の特別定額給付金は受給権者を世帯主としたことで受給できない人が出た。だが政府は迅速で的確に配るためとして、方針を変えなかった。
 ひとり親へ子どもの休校期間に応じた臨時給付金支給など2項目は「部分的に実現(B)」とした。A評価はゼロに終わった。

◆「政策決定に女性を増やさないと後回しに」

 政府の政策が改善しない原因について、呼び掛け人の1人の三浦まり上智大教授は、国会議員の女性比率が衆院で1割、参院で2割にとどまる事実を指摘。その上で「政策決定に関わる女性の代表者を増やさないと常に後回しにされる。女性を個人として扱い、尊厳を保障する憲法24条の精神を生かさないのは問題」と訴える。

要請の呼び掛け人(敬称略)▼浅倉むつ子(早稲田大名誉教授)▼大沢真理(東京大名誉教授)▼大脇雅子(弁護士)▼戒能民江(お茶の水女子大名誉教授)▼亀永能布子(女性差別撤廃条約実現アクション事務局長)▼竹信三恵子(ジャーナリスト、和光大名誉教授)▼角田由紀子(弁護士)▼中野麻美(弁護士)▼中村ひろ子(アイ女性会議事務局長)▼林陽子(弁護士)▼三浦まり(上智大教授)▼皆川満寿美(中央学院大准教授)▼村尾祐美子(東洋大准教授)▼屋嘉比ふみ子(PECO代表)▼湯澤直美(立教大教授)▼柚木康子(女性差別撤廃条約実現アクション共同代表)

◆ひずみがコロナ禍で表出、今こそ国家の出番

 糠塚康江・東北大名誉教授(憲法学)の話  憲法13条(個人の尊重)、14条(法の下の平等)、24条が目指すのは、政治、経済、社会、家庭生活の全てで個人は尊重されなければならないということ。構造化されたジェンダー不平等のひずみがコロナ禍で表出し、個人の尊重や幸福追求が妨げられているなら、応援するのが国家の役割。今こそ国家の出番だと憲法は訴えている。

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