マイナンバー事業、社員出向企業が契約額の83%を受注 総額1140億円

2021年5月4日 06時00分
 総務省所管でマイナンバー事業の中核を担う地方公共団体情報システム機構(J―LIS)に社員を出向させている企業が、機構のマイナンバー関連事業の少なくとも72%(件数ベース)を受注していたことが本紙の調べで分かった。出向社員の配属先からの受注が大半で、契約額では全体の83%に当たる1140億円に上ることも判明。機構と特定の出向元企業との密接な関係が浮かんだ。(デジタル政策取材班)
 機構は2014年の設立当初から、即戦力の民間人材を活用するため、特定の企業から出向者を受け入れている。出向中の人件費は機構が全額負担している。
 機構によると、2月1日時点で、職員268人のうち63人が民間企業からの出向。出向者が4割を占める部署もあるという。マイナンバー関連の部署には、20年までに民間24社から延べ139人が出向していた。
 本紙は機構が開示した資料を基に、14~20年度上半期に機構が発注したマイナンバー事業207件のうち、受注先を公表している196件(計1358億円)を分析。関連部署に社員を出向させていた企業の受注は142件、契約総額では1215億円と全体の89%に上った。
 企業別では延べ17人を出向させていたNTTコミュニケーションズが93件と最多。以下、17人のNTTデータが45件、25人のNECは30件、18人の日立製作所で28件と続いた。この上位4社が絡む事業の契約額だけで全体の78%を占める。
 また117件は出向社員が配属された部署から出向元企業が受注し契約総額で1140億円。多くは競争を経ない随意契約だった。
 機構は、出向社員が在籍する部署の発注であっても、出向元企業の受注を制限していない。民間企業からの出向について、機構の西川仁管理部担当部長は「あくまで機構に足りない知識と経験を出向者に補ってもらうためで、受注につながるという考え方はない」と話している。
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 本紙取材への主な出向元企業の回答は以下の通り。
 NTTコミュニケーションズ 出向者は機構の指揮で業務にあたり契約上の守秘義務も負う。利益相反は起こらないと考える。
 NTTデータ 官公庁に出向する場合、調達に直接絡む業務には従事しないことが一般的と思われる。
 NEC グループ行動規範を制定し、法令順守を推進している。
 日立製作所 守秘義務を負い、機構の指揮に従うので利益相反はないと考える。
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