青き海の神秘 1000年サンゴの謎に迫る 世界最大級オオスリバチサンゴ 

2021年5月4日 06時00分

オオスリバチサンゴに金属管を差し込み試料を採取する調査チーム=長崎県・五島列島の多々良島沖合で(高砂淳二さん撮影)

 長崎県・五島列島で確認された世界最大級のオオスリバチサンゴは推定で1000年にわたって生きてきた。世界各地のサンゴ礁は地球温暖化の影響による白化現象で死滅化が懸念されている。そんな危機の中、世紀を超えて成長を続けてきた貴重なサンゴに、研究者らは驚きを隠さない。(蒲敏哉)
 巨大サンゴが確認された場所は、五島列島の無人島、多々良島沖合。小さな湾の入り口付近の海底で、地元ダイビングショップの福見直樹さん(40)が約10年前に潜水中に発見した。「大きなサンゴ礁があると思っていたが、ここまでとは」と驚く。

採取したサンゴ試料を観察する国立環境研究所の山野博哉生物多様性領域長(右)=長崎県・五島列島の多々良島沖合で(高砂淳二さん撮影)

◆正確な大きさを測定、成長過程を研究へ

 環境省五島自然保護官事務所の半田浩志自然保護官(58)が国立環境研究所の山野博哉生物多様性領域長(50)に調査を相談。正確な大きさを測定し、成長過程を研究することになった。
 3月23日から25日の調査は、自然写真家で海の環境NPO法人OWSの副代表理事を務める高砂淳二さん(59)らも参加。画像を記録し、サンゴ中央部まで直径約5センチ、長さ約6メートルの金属管を差し込み約3キロの年代測定用試料を採取した。
 山野さんは「群体でここまでの大きさに育つには1000年はかかっているのでは」と推定している。試料分析には数カ月かかる予定だ。

五島列島の海底には多種多様なサンゴ礁が育つ=長崎県・五島列島の多々良島沖合で(高砂淳二さん撮影)

◆ブリやヒラマサが泳ぐ豊饒の海

 周辺海域はブリやヒラマサの群れが泳ぎ、多種多彩なサンゴ礁が成育する豊饒の海。
 半田さんは「西海国立公園内の規制の緩やかな地域に位置しているが、学術的データで貴重さが裏付けられれば、より景観保全が求められる海域公園地区に格上げし、保護と適正利用を検討することになる」との見通しを示している。
 高砂さんは「世界的に貴重なサンゴを、多くの人に広く知ってもらい、全体が保全されるきっかけになれば」とした上で「巨大なサンゴが何百年と暮らし続けられているということは、長い間それに適した環境が続いてきたということ。それが今の時代に変化するのか、させないでいられるのか。そのあたりを見ていく中心的な存在にもなる」と期待している。

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