45年ぶり下りたシャッター サザエさん最後の晴れ姿 赤坂で閉店・老舗書店の解体前に

2021年5月4日 06時37分

45年ぶりに下ろされたシャッターに描かれたサザエさん=港区で

 港区赤坂の老舗書店「金松堂(きんしょうどう)」の店頭で、シャッターに描かれた漫画「サザエさん」の巨大なイラストが45年ぶりにお目見えした。今年3月末に閉店し、建物の解体前に、ずっと上がったままだったシャッターが下ろされて日の目を見ることになった。 (宮本隆康)
 店主の西家嗣雄さん(63)によると、店は祖父が一九一一(明治四十四)年に創業。赤坂芸者のブロマイド販売店として始まり、書店に変わった。永田町に近い立地から、橋本龍太郎元首相も首相官邸からよく訪れていたという。
 個人経営の街の書店として営業を続けたが、出版業界の苦境が続き、新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけた。赤坂一帯の人出も減り、老朽化もあって閉店を決めた。
 シャッターのイラストは五十二年前に完成。しかし故障などで定休日も上がったままになり、赤坂の中心部にもかかわらずイラストが人目に触れる機会はなかった。建物の解体を前にした先月十三日、業者が半日がかりで下ろした。
 イラストは、サザエさん一家が、思い思いのかっこうで「女性自身」や「週刊文春」「少年マガジン」など、複数の出版社による雑誌を読んでいて、店の営業時間や定休日なども書かれている。
 作者の長谷川町子さんの作品を展示する「長谷川町子美術館」(世田谷区)では「絵のタッチを見る限り、本人が描いたのではないと思う。ただ、版権を管理していた出版社の名前も書いてあるので、承諾を得ていたのでは」としている。
 設置した西家さんの父は亡くなっているため、描かれた経緯などは不明。西家さんは「付き合いのあった各出版社の担当者たちが、承諾の調整などをしてくれたのではないか」と推測する。大型連休の期間中はシャッターを下ろしたままにする予定で「最後に道行く人に見てもらえたら」と話している。

関連キーワード

PR情報

東京の新着

記事一覧