保育士など目指す学生に憲法語る 相模女子大・久保田教授「子どもを尊重」常に考えて

2021年5月4日 07時02分

学生と話す相模女子大の久保田教授=相模原市南区で

 子どもに関わる仕事を選ぶ人に、日本国憲法を学んでほしい−。相模女子大の久保田力教授(63)は、保育士などを目指す学生向けの授業で憲法を語り続けている。どのような授業か、なぜ憲法か。三日の「憲法記念日」に合わせ、話を聞いた。 (石原真樹)
 久保田教授が憲法を扱う授業の一つに「保育の原理」がある。保育や子育てに関する思想や制度を学ぶ科目だが、最初に取り上げるのが「子どもを守る仕事に就く上で最優先に知ってほしい」と話す「基本的人権の尊重」(一一条)だという。
 「生存権や表現の自由などいろんな権利が含まれていて、子どもが尊重されているか、常に問い返してほしい」と理由を語る。「生存権」(二五条)に触れる際は「子どもにとって『健康で文化的な最低限度の生活』って何だろう。ぼくは、親と安心して一緒にいられること、を入れたい」などと語り掛けるという。
 学生の反応はどうか。将来の夢が保育士という四年の菱沼怜那さん(21)は「子どものことを大人が決めてしまいがち。ゼロ歳、一歳の子どもも大人と同じ基本的人権が保障されていることを、私たちが知らなきゃいけないなと思った」と語る。小学校教諭を目指す四年の丸山映歩(あきほ)さん(22)は「義務教育は、大人が子どもに受けさせる義務だと認識した」と振り返る。
 久保田教授が憲法を考えるようになったきっかけは小学六年の夏。静岡県清水町在住で、隣町の御用邸に天皇陛下が避暑に訪れる際、車で通り過ぎる一瞬に万歳するため炎天下の沿道に二時間立たされた。校長が涙を流す姿に「同じ人間のはずなのに何なんだ」と強烈な違和感を持った。さらに中学時代、男子は全員丸刈り頭との校則を変えようと奔走、生徒総会を開いてほぼ満場一致だったにもかかわらず、教員は「丸刈り頭が中学生らしいから」と却下した。
 「何かに納得できなかったとき、憲法は『これで本当にいいの?』と問い直すベースになる」。保育や教育の現場で活躍する教え子には、子どもが一人の人間として尊重されているのか疑問を持ち続けてほしいと願っている。
 「子育て支援は誰のためか。待機児童ゼロや英語の教科化は『子どもの最善の利益』か。いちいち考えるようになってほしい」

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